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要介護認定調査、23項目削減へ

現在、82ある要介護認定の調査項目。調査員の調査が困難、認定審査会での審査に時間がかかるなどの理由で削減が検討されています。これについて解説します。

執筆者:宮下 公美子

調査項目は65項目へ

要介護認定は、介護保険利用の入口。介護保険利用の申請を出した人はみな、認定調査員による調査を受けることになります。その調査項目は現在82項目。さらに、「買い物」「調理」「集団への参加」など、6項目を追加することがすでに決まっています。しかし調査項目が多いことで、認定調査員にも、認定審査会委員にも、非常に負担が大きいという声が上がっています。

変更の流れ
新しい認定調査項目での調査は2008年8~9月頃、モデル事業として実施され、2009年4月から全面的に移行する予定
私自身、1年間認定調査員をやってみて、82という調査項目はずいぶん多いな、と思っていましたし、これって必要なの?と思う項目もありました。また、調査票の特記事項を書く際には、常に「短く! 読みやすく!」という指導を受けていました。これは、詳しく伝えたいと思うあまり、長々と書いたところで、認定審査会の委員に読んでもらえないからです。実際、認定審査会委員をやっている知人は、事前に送られてくる認定審査の資料の読み込みには相当の時間がかかり、負担が大きいと話していました。

こうしたことから、現行の項目の中で、認定調査員や認定審査会委員が調査、判断が難しいとしている項目や、認定結果に影響が少ない項目を削除する議論が行われることになりました。2008年5月2日の第4回厚生労働省要介護認定調査検討会では、削除する23項目の案を決定。これをもとに認定のためのロジックを開発し、その後、最終的に削除項目を決定することになっています。

不要な項目は削除した方がいいと思いますが、中には「これも削っちゃうの?」と思う項目もあります。5月2日時点で、削除案として決まったのは以下の23項目。【 】内は調査した際にチェックする選択肢です。


■1群
-2 関節の動く範囲の制限(拘縮) 肘関節 → 【有/無】
-2 関節の動く範囲の制限(拘縮) 足関節 → 【有/無】
■4群
-1-ア じょくそう(床ずれ) ⇒ 【ある/ない】
-1-イ じょくそう(床ずれ)以外で処置や手入れが必要な皮膚疾患 ⇒ 【ある/ない】
-4 飲水 ⇒ 【自立/見守り等/一部介助/全介助】
■5群
-5 電話の利用 ⇒ 【自立/一部介助/全介助】
■6群
-4 介護者の指示への反応 
⇒ 【介護者の指示が通じる/介護者の指示がときどき通じる/介護者の指示が通じない】
■7群
-イ 作話をし周囲に言いふらす
⇒ 【ない/ときどきある/ある】(以下7群は選択肢同じ) 
-ウ 実際にないものが見えたり、聞こえたりする
-エ 泣いたり笑ったりして感情が不安定になる
-カ 暴言や暴行がある
-キ しつこく同じ話をしたり、不快な音を立てる
-ク 大声を出す
-サ 「家に帰る」等と言い落ち着きがない
-シ 外出すると病院、施設、家などに1人で戻れなくなる
-ス 1人で外に出たがり目を離せない 
-セ いろいろなものを集めたり、無断で持ってくる
-タ 物や衣類を壊したり、破いたりする 
-チ 不潔な行為を行う(排泄物を弄ぶ) 
-ツ 食べられないものを口に入れる 
■10群
-1 日中の生活
⇒ 【よく動いている/座っていることが多い/横になっていることが多い】
-3 生活の不活発化の原因となるような家族・居住環境、社会参加等の状況の変化 
⇒ 【ある/ない】



※7群の選択肢は、私がいた自治体では、「ない」はここ1ヵ月以内に1度もない、「ときどきある」は月1回程度、「ある」は週1回以上、の時にチェックするとされていました。

検討会での議論と、私自身の経験から感じたことを
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