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要介護認定調査、23項目削減へ(2ページ目)

現在、82ある要介護認定の調査項目。調査員の調査が困難、認定審査会での審査に時間がかかるなどの理由で削減が検討されています。これについて解説します。

執筆者:宮下 公美子


判断が難しかった「飲水」

23項目の削除案の中で、調査員や審査会委員から「判断が難しい」「調査が困難」という声が上がったとされているのは、「皮膚疾患」「飲水」「火の始末」。元調査員として言えば、たしかに「飲水」は非常に判断に悩む項目でした。

私の勤めていた自治体では、飲水は「飲水の介助が行われているかどうか」と「1回にえん下する量が適正かどうか」を評価する項目とされていました(自治体により判断基準にばらつきがあると聞いています)。ペットボトルや水筒を手が届く範囲においてもらえば飲める人は「自立」。自分で1回の適正な飲水量をコップに注げない人は「見守り」。コップを手渡したり、口元まで運ぶ介助が必要な人は「一部介助」。このあたりまではわかります。

では、手元に置くのがペットボトルではなくコップでないとダメな人は? これは「見守り」になります。必要以上に何杯も飲んでしまう人は「見守り」かと思いきや、「一部介助」。口元までコップを持っていって飲ませるのは「一部介助」だけれど、1回のえん下量を勘案して介助すると「全介助」となるとされています。口元まで持っていったら、1回のえん下量に見合うように調整するのが普通だと思いますが、「全介助」と「一部介助」の違いがよくわかりません。

「飲水」の判断については、聞けば聞くほど混乱し、勤続5年目の先輩調査員も含めて誰もが「判断できなーい」と嘆いていました。正しい判断ができない項目は、ロジック上、認定結果への影響が小さいなら削除する方がいいと思います。

「皮膚疾患」は、検討会の議論の中で「重篤なやけどの治療中等ならともかく、軽い水虫や魚の目でもチェックされてしまうのはどうなのか」という意見がありました。私も常々、これは意味があるのか?と思っていたので、やはり削除に賛成です。

「火の始末について」は、検討会において「火の始末ができないとなると、要支援1程度でも、1日中見守りが必要と審査会委員がとらえてしまうのが問題」という意見が出ていました。しかし認知症において、火の始末は非常に大きな問題。どの程度の見守りが必要か、あるいはどの程度の火の不始末があるかを、調査員に特記事項に書くよう指導し、そこをしっかり読み込むよう、審査会委員に伝えれば正しく理解されると思います。これが削除になってしまうなんて、という思いです。

削除項目の説明は
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