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なぜこの状態でこの介護度?の不満(4ページ目)

ガイド宮下、2007年度1年間だけですが、介護保険認定調査員として認定調査に携わっていました。認定調査に行って、よく言われるのが、「なぜこの状態でこの介護度なのか?」ということ。これについて考えます。

執筆者:宮下 公美子


福祉用具が使える、使えないの境目で

ちなみに区分変更は、2006年4月の福祉用具貸与条件の変更により要介護1以下では車イスや介護ベッドが借りられなくなったことから、「車イスが借りたいのに要介護1だったから」といった理由で申請するかたがふえました(本来、こうした理由での区分変更申請は受け付けられないので、表向き、理由は「ADL低下につき」と書かれています)。

ベッドレンタル
認定調査に行くと、要介護度が下がり、借りていた車イスや介護ベッドを取り上げられて、非常に困ってる、という訴えはとても多かった
調査員から見ても、外出時は明らかに車イスが必要だろう、と思われるものの、現状、車イスがないから外出頻度が多くなく、家の中は頑張れば伝い歩きができるために、要介護1にしかならないというかたもいます。これでは車イスが借りられませんから、外出頻度を増やすことができません。こうしたかたのケースでは、伝い歩きができていても調査員が勘案し、歩行を「できない」とした方が良かったのか、など、下された要介護度を見て悩んだこともありました。

調査員は調査票を書きながら、これはだいたい要介護1レベル、など、ある程度イメージしています(私は大まかにしかイメージできませんでしたが)。前回の要介護度から下がるのが明らかな場合、そして、この福祉用具レンタルに関わる要介護度の変更になる場合は、適切な判断ができているか、審査会委員にきちんと伝わる特記事項が書けているか、非常に気になるものです。

車イスがあるから買い物に行けている、という人から、車イスを取り上げたらどうなるのか。ベッドがあるから起き上がれると言っている人がベッドを失ったら、一人ではトイレに行けなくなるのではないか。実際、調査の時に、本人や家族から、福祉用具が使えなくなったら生活できないから要介護度が下がったら困る、と訴えられることはよくあります。

しかし調査員は、見たまま、聞いたまま、調査して判断したままを書くように言われており、項目の判断を操作することは許されません。調査員にできることは、せいぜい概況調査欄に「車イス使用により、外出が可能となっており、本人は継続利用を強く訴えている」と書き加えるぐらいです。それでも、要介護度が下がれば、やはり恨まれるのは調査員。これは仕方がないことなのかもしれません。

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