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介護業界の労働実態はどうなってる?・2(2ページ目)

介護労働安定センターが2006年度に行った調査をもとにした介護の現場の実態についての考察2回目。高い離職率、低い賃金など、厳しい実態を紹介します。

執筆者:宮下 公美子

30代、年収370万円が破格、という実態

先日、あるサイトの掲示板で、「給与はいくらか?」というトピックスの書き込みを見てみました。年収にして200万円~300万円が多く、370万円もらっていると書き込んだ30代の人は「破格でしょうか」と書いていました。
30代、370万円で破格。
世間の給与相場との格差に改めて愕然としました。

さて、この調査では、全体の平均月収(所定内賃金)が21万3837円。意外に高いようにも思えますが、約32万円の理学療法士や約28万円の作業療法士、約27万円のケアマネジャー、約25万円の正・准看護師を含んでの平均値です。ちなみに、所定内賃金とは、就業規則などであらかじめ決められた労働時間に対して支払われる賃金で、基本給のほか、家族手当、通勤手当、住宅手当などの諸手当を含んでいます。

資格別で言うと、介護福祉士は21万3492円、ヘルパー2級は18万3084円。手当を含んでこの賃金というのは、やはり低いですね。

勤続年数別では、この調査では最も人数が多い5年以上10年未満が22万8211円、次に多い2年以上3年未満が19万9601円。人数は少ないのですが、15年以上20年未満になると28万1791円20年以上になると31万6030円。20年以上でも、やはり年収にすると400万円前後でしょうか。厳しいなぁと思います。

登録ヘルパーは時給の見直しなし?

次に、基本給を見直しているかどうかという項目。全体では、半数以上の53.1%が「見直している」であり、「見直していない」のは36.7%となっています。また、「介護職員」は半数以上が「見直している」なのですが、「訪問介護員」は正社員か非正社員かで違ってきます。正社員の場合は、62.7%が「見直している」ですが、非正社員だと「見直している」のは38.9%。46.2%が「見直していない」のです。

登録ヘルパーも、経験年数を積んでいけば、スキルアップするわけですから、基本給の見直しがあってしかるべき。いい介護をしても、いいかげんな介護をしても給与が変わらないのでは、向上心を持つのはなかなか難しいですし、長く続けようという気持ちにもなりにくいと思います。

以前、ユーザーのかたから、「介護福祉士の資格を取ったら、資格証のコピーを出せと事業所からしつこく言われている。なぜか?」という問い合わせをいただいたことがあります。これは、介護福祉士の人数が一定人数以上いることを申請すれば、訪問介護の介護報酬に加算がつくからなのです。この方は、「自腹で勉強して取った資格なのになぜ事業所を儲けさせるためにコピーを出さなくてはいけないのか」と憤慨されていましたが、まったくその通りだと思います。

このように、資格証のコピー提出を求められた場合は、ぜひそれと引き替えに、時給アップの交渉をすることをおすすめします。事業所に利益をもたらすのですから、当然の権利だと思います。

>>次のページは【ヘルパーの移動、研修時間等に賃金を払っていない事業所が多数!】
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