人権に関わるひどい扱いを受けた研修生
2006年11月末、NHK「クローズアップ現代」で「歪められた外国人研修制度」として、この研修・実習制度の問題が取り上げられていました。来日後、数ヶ月間予定されていた日本語研修がすぐに打ちきりになり、時給350円など最低賃金以下での長時間労働を強いられている、逃亡防止のためパスポートや預金通帳を取り上げられているなど、研修目的で来日した外国人が安い労働力として使われている実態が明らかにされました。中には、10人1部屋での生活を強いられる、仕事中、トイレに行く回数をチェックされ、トイレ1回ごとに15円が給与から差し引かれるなど、人権に関わるようなケースもあり、見ていて衝撃を受けました。この研修・実習制度では、企業単体で研修生を受け入れる場合は海外の現地法人や取引先企業の常勤職員を受け入れるなど、厳しい受け入れ条件が定められています。しかし、商工会議所・商工会、事業協同組合など団体が窓口となって受け入れる場合は、海外との取引云々の規定はありません。そこで、研修生を受け入れたいが条件をクリアできない企業が集まり、受け入れるための事業協同組合を作ったケースもあります。
そうした団体の一部に、研修生を受け入れては企業ごとの受け入れ人数規定を無視して人手不足の企業に研修生をまわす、ブローカーのようなやり方をするところが出てきました。研修生を渡すと、その企業から月数万円の報酬が得られる仕組みになっていたのです。「研修生は商品」。その団体の関係者はそんな表現をしていました。
これが明るみに出て、17社が是正勧告を受けたのですが、研修生の中には「日本の高い技術を学ぼうと来日したのに、母国でやっていたこと以下の仕事しか与えられず、ひどい労働条件の中で働かされ、何も学ぶものはなかった」「おまえたちは人間じゃない、動物だ、と言われた」と泣きながら語る女性もいました。
胸が痛みます。
また一方で、ここ5年間で受け入れた研修生の中から、1万人もの失踪者も出ているとのこと。失踪者が不法就労、さらには犯罪につながっていくケースもあるのではないでしょうか。こちらも問題です。
>>次は「来日後は事実上ノーチェックか」「フィリピン人介護士受け入れで同じ問題は起きないか?」
>>「介護・福祉業界で働く」トップへ