受け入れ人数は政府が勝手に決める?
フィリピン人の第1回受け入れは、介護士600人、看護師400人の計1000人。妥当な数字だと思いました。ところが、外務委員会の答弁を聞いていると、2回目以降はどうなるのか不透明なのです。今回は600人、400人の1000人と決めてあります。
しかし、次回以降もずっと1000人ずつかというと、そんな規定はありません。受け入れ人数を変更するにはどういう手続きがいるかということも定められておらず、最悪の場合、政府内での協議だけで次回は1万人、あるいは2万人受け入れる、ということにならないとも限らないと思われます。
このあたりも、11月1日、8日の外務委員会で問題になり、野党議員から「必ず、フィリピン人を受け入れた施設、病院に、労働条件の低下はないか、介護・看護レベルはどうか、利用者へのサービスは低下していないかをチェックの上、指導を行い、受け入れ人数の変更については国会で審議してほしい」という要望が出されました。
もし、前述のように、フィリピン人には試験を課さずに養成校修了で介護福祉士資格が取れるとなったら? そして、1万人も2万人も来日したら? 介護の現場はフィリピン人労働者でいっぱいになり、給与水準を上げろという日本人などもういらない、ということにならないでしょうか。心配です。
給与水準は、日本人と同等以上とされていますが、同等であっても、大勢のフィリピン人が介護の現場で働くようになれば、少なくとも給与水準や待遇を上げて人手を確保する必要はなくなります。介護の現場の労働条件が、いつまでも劣悪なまま固定される危険性があります。それどころか、ある業界関係者は「そんな条件、本当に守られると思いますか?」とすでにあきらめ顔でした。
11月1日の外務委員会において、麻生外務大臣は野党議員の質問に対して、「看護も介護も日本においては非常に労働力が不足している。だからフィリピン人を受け入れるのは大きな意義がある」と口を滑らせていました。早速、野党議員から「今回のEPA協定は人手不足解消ではなく、人材交流だったはず。前提がちがってきている、おかしい」と指摘されていましたが、やはり政府の本音は、労働力不足を外国人労働者で補おうということかと悲しくなりました。
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