「金利下降リスク」を無視するな!


返済額が固定されることは、支払者にとってプラス要因ではある半面、「毎月の返済額が変わらない」ことばかりが“ひとり歩き”してしまい、住宅ローンは固定金利が“王道”で、変動金利は“邪道”といった固定観念が蔓延(まんえん)している感があります。

しかし、おおよそ30年もの長期にわたる返済期間中に金利は上下を繰り返すのが本来の姿であり、「金利上昇リスク」だけを危惧するのはアンバランスとしか言いようがありません。住宅ローンのノウハウ本を見ても、セミナーに参加しても、「金利上昇リスク」は喚起しても「金利下降リスク」に言及する例はいたって少数なのは残念な結果です。

ゼロ金利政策が解除されれば、市場金利は上がるでしょう。しかし、“上がり続ける”ことは考えにくいはずです。日銀も政府も市場と対話しながら金融政策を行い、インフレ圧力を排除する努力をするからです。そもそも完全な成熟社会を迎え、潜在成長率も中国のような勢いは影を潜めている日本で、かつての「バブル」のような加熱経済が再来するとは誰も考えていないはずです。仮に金利が上がり続けたとしても、実体経済を伴った「健全」な成長であれば、物価や雇用環境も連動することで、マンションのリセールバリュー(利用価値)や収入も同時に膨らむと考えて不合理ではないと考えます。

金利上昇によって今までの毎月返済額が増えたところで、その利幅を物価上昇や所得増によって補えれば「返済不安」には結びつかないので、金利変動を意識することは重要ですが、“過剰反応”する必要はありません。諸外国と比べても、今までが異常であって、それが“正常”な金利ポジジョンに戻りはじめただけのことです。金利上昇をネガティブ(否定的)にとらえるべきではないのです。

「リスク許容度」「適合性の原則」に応じてカスタマイズする


そこで、これから住宅ローンを組む場合、また、リファイナンス(借り替え)を検討中の方も含め、住宅ローンの「勝ち組」を目指すには、前述の基本原則を思い出すことと同時に、ご本人自身の尺度として、金利変動リスクへの順応性(=リスク許容度)を加味するといいでしょう。「リスク許容度」とは


「過払いリスク」や「返済不安リスク」が表面化した時に、ご家庭にどれだけの受忍余力があるか


ということです。リスク許容度が高ければ、3年後の金利見直し時に仮に金利が上昇しても、その分を吸収できるだけの返済能力があるので、「3年固定特約」を選択して目先の金利負担を抑えるといったリスクコントロールが有効に成立します。30年後の金利情勢など誰にもわからないのに、「金利は上昇し続ける」といった“思い込み”によってローン金利を完済時まで固定してしまう方が、かえって、ハイリスクとしか言いようがありません。「いざという時は、借り替えればいい」と考えているのなら、いつでも柔軟に対応できるよう、最初から「特約型」の変動金利を選択しておくのがベターなシナリオです。

ご本人の年齢(完済時は何歳?)や収入(返済能力)、家族構成(教育費の有無など)、さらに、リスクに対する考え方など、利用者の意向と実情に適合した(=適合性の原則)返済計画が、ローンの「勝ち組」になるためには必須条件となります。「金利上昇リスク」と「金利下降リスク」を両天秤にかけ、中長期的な金利予想を前出の基本原則に当てはめてプランニングすることで、バランスの取れた無理のない住宅ローンが組めるのです。

経済見通しやリスク順応性、そして、適合性の原則を加味しない「完全固定金利偏重主義」は、ますます時代から取り残されていくことでしょう。

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