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ALS患者の痰吸引で意見交換

2004年3月、日本ALS協会の主催により、ALS患者の痰吸引問題について、厚生労働省、患者家族、介護事業者などそれぞれの立場から報告する「吸引フォーラム」が開かれました。当日の様子を報告します。

執筆者:宮下 公美子

2004年3月、東京・有楽町で日本ALS協会の主催により、ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の痰吸引問題について、厚生労働省、患者家族、介護事業者、日本看護協会、在宅医が、それぞれの立場から、現状と問題点などを報告し、質疑応答を行った「吸引フォーラム」が開かれました。質疑応答では、具体的に現状困っている問題が次々と質問として出され、重苦しい雰囲気に包まれました。当日の様子を2回に分けて報告します。

□■ALSと痰吸引について■□
 フォーラムの報告の前に、まずはALS(筋萎縮性側索硬化症)という病気と痰吸引について簡単に説明しておきます。

 ALSは、原因不明で完治に至る治療法が確立されていない病気。発症すると、全身の筋肉が次第に衰えて力が入らなくなり、運動能力が失われます。やがて寝たきりになり、水や食べ物を飲み込めなくなって、自発呼吸も不可能になります。そして、人工呼吸器に頼ることになります。

2004年現在で、日本ALS協会によると全国に約6700人の患者がいて、そのうちの2割強が人工呼吸器を装着しています。また、患者の約7割は在宅で生活しており、24時間の介護が必要な状態にあります。

30分に1度程度の痰吸引は、患者の4割程度が必要としており、患者家族が中心になってそれを担っていました。しかし、介護に追われ、睡眠も外出もままならない生活を続けていては、家族も共倒れになるという危機感から、ALS患者、家族を支援する「日本ALS協会」が、介護の一部を担っているホームヘルパーら、家族、医療職以外にも痰吸引を認めてほしいという運動を展開。18万筆の署名などを携えて訴え、2003年7月、厚生労働省は「在宅ALS患者に限り、医師及び看護師の指導下、患者の同意書により、家族以外のものによる痰吸引を認める」という通知を出しました。

 その発令から半年経ち、現状はどうなのかを、厚生労働省、患者家族、在宅療養を支援している医師、日本看護協会、介護事業者が、それぞれの立場から報告し、今後に向けた問題点を明確化しようというのが、このフォーラムの目的でした。

次は□■それぞれの立場からの報告■□【厚生労働省、患者家族、在宅医】
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