介護・福祉業界で働く・転職する/栄養士・管理栄養士の仕事

家庭感覚が大切 特養施設の管理栄養士(4ページ目)

特別養護老人施設で栄養管理を担当する管理栄養士、秋山ゆかさんのインタビューを前回に引き続きご紹介します。今回は高齢者介護施設に勤めるために必要なこと、やりがい、病院との違いなどについてです。

執筆者:大石 淳子

地域も参加するイベントを実現したい

特別養護老人施設
園の食事指針を作りたい。それがあることで料理の方向性が同じになり、誰が作っても同じ食事をずっと提供することができる。次世代のリーダーを育てることも、責任者の仕事だと思っている。
ガイド:
今後はどのような取り組みを考えていますか?

秋山さん:
当園を通じて保健所や学校、病院、地域と連携し、予防という観点から人々が気軽に参加できる料理教室やセミナーなどを行っていきたいです。生活習慣病予防や介護予防の食事、嚥下食などについて知りたい方は地域に大勢いらっしゃいますので、提案していきたいです。

園内のことに関しては、利用者様と一緒に作るおやつのレクレーションや居酒屋を不定期オープンしたり、季節の行事、栄養講話などの楽しいイベントを充実させたいと思っています。円卓を囲んでおでんバイキング、冬には鍋パーティーをすることもすでに決まってます。実は職員がとても楽しみにしているんですよ。職員と利用者が一緒に食べたり飲めたりできる感じにしようかな、とみんなで考えています。

ガイド:
最後に読者の栄養士・管理栄養士へメッセージをお願いします!

秋山さん:
栄養士として大事なことは、多くの人とかかわって、人を観ていただきたいということです。数値目標の栄養を食事にして食べてもらって、たとえ検査データが良くても、表情が暗かったら健康ではないと思います。栄養士は栄養だけを見る職業ではないと思っています。

そして栄養士だからこそ、食事という時間を大切にしてほしいと思います。一緒の食卓を囲むことで友達と仲良くなったり、家族が団らんを築けることにもなる。食は人を良くするもの。食べるものは命をつなげるために不可欠ですから、食べ物を作って下さる人や食べられる環境、一緒に食べる人がいることに感謝して過ごしたいと思うのです。

最後に日本食文化を伝えられる栄養士が必要だと思っています。伝統行事や季節の野菜、郷土料理を残すことで、「地産地消」や食糧自給率のアップにつながり、経済効果が生まれることを栄養士も発信していきましょう。

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