家庭科の将来に必要なものは?
現代の家庭科は、調理・裁縫だけではなく、生活全般を学ぶ。生徒が自ら生活を考えるきかっけになるような授業をとおして、家庭科を学ぶ意味を生徒に伝え、そこからまた多くの人に広げたい。 |
この仕事を続けていくにはどんなことが必要ですか?また将来性をどのように思いますか?
相浦さん:
進学に直接関係しないという点では、家庭科の将来は今のところなんとも言えません。生徒や親、そして世の中が、家庭科があってよかったと、家庭生活を大切にする動きになれば、将来的に採用枠は拡大すると考えられます。
家庭科は主体性をもって、自分の生活を作っていける大人になるための勉強。社会生活を学ぶための大切な科目です。少子高齢化、環境問題やワーキングプアなど、さまざまな社会問題と対峙する基本にもなると思うのです。
授業参観や地域の活動などで、家庭科でやっていることをさらにアピールして、家庭科を学ぶ意味を生徒に伝えていく必要があると思います。
この仕事を続けていくには、仕事だけではない家庭生活、地域生活を通じた個人のあり方を考えていかなければならないですね。自分の生き方も生徒の教材になるので、私自身の仕事・地域・個人のワークライフバランスを考えるようになりました。
ガイド:
今後はどのような活動をしたいですか?
相浦さん:
私が学んだ栄養学は西洋的観点からの学問なので、薬膳やマクロビオティックなどの東洋的な食の教養を深めたいです。これからの生徒は、栄養を学ぶ際に東洋的な食の知識も必要になってくると思います。
また地域の中で、母親として子育てを通じてスポーツ栄養を発信したいです。自分の子どもが野球を始めたので、試合前の食事、体をつくる食べもの、スポーツドリンクについてなど、栄養の勉強したことを、地域生活でも生かしていきたいですね。
ガイド:
最後に読者にメッセージをお願いします!
相浦さん:
これからの栄養士は、料理法はもちろん、野菜であれば、いつ(旬)どこ(地理)で取れるのか、いつぐらいからどのように食べられてきたのか(歴史的な背景)など、幅広い知識が要求されると思います。教員の仕事も同じで、生徒や物事を多面的に捉えることが必要です。
■編集後記
インタビュー時、ちょうど育児休暇中でお子さんと一緒だった相浦さん。実体験にもとづく生きた授業、そして生活にあわせた内容を生徒が調べたり体験し、感じて、考える授業をしているのですね。家庭科は食生活をふくめたトータルライフスタイル理論。これから社会生活を送る人々のプレ体験の場でもある、と感じました。
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