「患者様から食事が美味しかったと言われるのが何より嬉しい」という、東京慈恵会医科大学附属病院栄養部・管理栄養士の濱裕宣さん。将来的には病棟にメディカルスタッフルームを設置し、管理栄養士が常駐する体制を作りたいという考えで取り組まれています。現在の仕事、今後の取り組みについてお話をうかがいました。
病院ではどのような食事を提供しているのですか?
東京慈恵会医科大学附属病院栄養部 管理栄養士 濱裕宣さん。将来的には病棟にメディカルスタッフルームを設置し、管理栄養士が常駐する体制をつくりたい、とのこと。 |
はじめに病院の食事について聞かせてください。1回にどれくらいの食事を提供しているのですか?
濱裕宣さん:
1回に約700食、1日3食で2,100食ほどです。そのうち50~60食は患者様の入退院があるので、毎日入れ替わります。
ガイド:
腎臓・高血圧、糖尿病・代謝・内分泌、循環器、消化器などの内科から、産婦人科、外科まで診療部門が多いですが、どんな食事の対応をされているのですか?
濱さん:
食事の種類は、成人常食、全粥食、五分粥食、三分粥食、流動食、軟菜食、学童食、幼児食、離乳食、エネルギー調整食、タンパク質調整食、脂肪調整食、塩分調整食、そのほかに動物性脂肪等を制限したクローン病、白血病の無菌食、プリン体を制限した痛風食などがあります。また、麦ご飯、7分搗きご飯、選択メニュー、特別行事食、個人対応(きざみ食、おにぎり食、皮むき、アレルギー食品除去食)などもあります。
ガイド:
おにぎり食とはどんな人にお出しするのですか?
濱さん:
寝たままの状態で体を維持しなくてはならない患者様に出しています。仰向けで食事をとることになるので、食事を鏡に映して、それを見ながら食べます。これをミラー食とも呼ぶのですが、箸では食べづらいのでおにぎりにしているのですよ。
ガイド:
麦ごはんは珍しいですね?
濱さん:
明治の初めごろ、多くの方々が脚気で亡くなっていました。慈恵医大の学祖・高木兼寛博士が麦の栄養素に着目して考案した「脚気改善食」が、脚気の改善に大きく貢献したのです。その偉業をしのんで麦ごはんをお出ししているのですよ。
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