利用者増加中の成年後見制度

判断力が衰えてきた在宅の高齢者を見て、悪徳業者にだまされないだろうかと心配になったことはありませんか? 施設に入居している高齢者が、適切な判断ができないのをいいことに、どうも親族に財産を勝手に使われているようだ、と感じたことは? あるいは、一人暮らしの知的障害者の家に怪しい業者が入り浸っているみたいで心配だ、と思ったことはありませんか? 

契約
一人暮らしの認知症高齢者や知的障害者、精神障害者は悪徳業者とわからず、契約してしまうことも多い

最近は、オレオレ詐欺やリフォーム商法など、判断力に特に不安がないかたでも油断するとだまされてしまう、巧妙な詐欺がふえています。ましてや、認知症の高齢者、知的障害者、精神障害者など、判断能力のないかたや不十分なかたは、悪徳商法に付け入られる危険に常にさらされていると言えます。こうしたかたたちの権利や財産を法的に守るため、2000年にスタートしたのが成年後見制度です。制度の利用ニーズが高まり、東京都世田谷区など一部自治体では原則ボランティアで後見活動を行う市民後見人の養成をはじめるところも出てきています。

では、この制度、どういうものなのでしょうか。

◆INDEX◆
1P目>>【判断力が不十分なかたのための法定後見制度】
2P目>>【ほぼすべての判断を「後見人」に委ねる「後見」】
3P目>>【権利擁護が権利制限にならないために】

判断力が不十分なかたのための法定後見制度

成年後見制度には、自己契約による「任意後見制度」と、申立により家庭裁判所が後見人等を選任する「法定後見制度」があります。

任意後見制度と法定後見制度、どちらの制度を利用するのが適当かを決めるポイントは、利用する当事者の判断力の有無。判断力が必要なのは任意後見制度。将来、判断能力が不十分になった際に備えて、判断能力がある間に「自分で」後見人と契約を結びます。任意後見人にどこまでの権限を与えるか、契約の内容を自分で決める制度ですから、判断力が衰えてからでは利用できません。

これに対して、判断力が不十分になったかたに、利用してほしいのが法定後見制度。本人の権利擁護のために本人または代理人が申立を行い、利用するというものです。ここでは法定後見制度について説明します。