ビジネス経験豊富な人がメインターゲット
一方で、この本を読みこなして活用するには、相当のビジネス経験が必要だといえます。たくさんの情報が詰まった本ですが、その分レベルが高いといえます。おそらくこの本のターゲットはMBAなどのビジネススクールの学生、またはそれに順ずるような経験の人です。つまり社会人経験5~10年目くらいの人でないと、なかなか飲み込みにくいという感じです。
逆に、学生や1~3年目レベルの方だと、かえって消化不良をおこして、マニュアル的な受け答えだけを覚えてしまう可能性もあるかもしれません。
若手の読者は、
「考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則」
「問題解決プロフェッショナル「思考と技術」」
「ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル」
といった定番のテキストをしっかりと基礎として演習して、土台を作っておく必要があると思います。土台ができた上で、どうやってケース面接独自のノウハウを乗せるか、という時に読むべき本でしょう。
面接対策だけでなく、一般のビジネスマンにもおすすめできます
この本は完全に「面接対策のマニュアル」であるために、戦略ファームを受けようと思う人以外には役に立たないのでは?と思われる方もいらっしゃるでしょう。私が考えるに、この本の考え方は、多くのビジネスマンにとって読む価値があるものだと思います。アイビーケースで取り上げている12のケースは、いずれも日常のビジネスシーンで起こりうるような典型的な問題です。それに対して、短時間で、対策の道筋をつける方法は、ビジネスマンであれば、誰もが有用なものだと見出せるはずです。世の中に出回っている多くの個別テーマのビジネス書を読むことに飽きてしまった方にも、新鮮なものが得られそうです。