住宅購入の費用・税金/確定申告・住宅ローン減税

借り換え時の「住宅ローン減税」ここに注意(2ページ目)

金利上昇リスクを嫌気して、住宅ローンを借り換える割合が増えています。しかし、適用条件を無視して借り換えると、「住宅ローン減税」が以後、受けられなくなる恐れがあります。そこで、注意点をまとめてみました。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド

連帯債務の対象となっている借入金を借り換えた場合


住宅金融公庫(07年3月末で廃止)などから融資を受けていた方で、夫婦で収入合算(連帯債務の関係)してローン契約を締結した場合、当該住宅ローンを借り換えて住宅ローン減税の再適用を受けようとする際には、ご夫婦の「持分割合」に注意が必要となります。

たとえば、ご夫婦でそれぞれ2分の1の持分を有する住宅ローンを借り換え、借り換え後はご主人が単独名義となる借入金に変更したとします。その場合、還付金額を計算する際の基本原則は借入金の負担割合(名義)に応じた借入金残高に連動させて還付金額を計算することとなっているため、100%の持分割合を手にしたご主人の借入金が、全額、ローン減税の対象となると考えがちです。

ところが、借り換えを伴う住宅ローン減税の再適用では、“新たに”夫の借入金となった部分の金額は、妻の借入金を返済するためのものとみなされます。そのため、住宅取得のための“直接”の借入金とは認められないため、全額が対象とはなりません。つまり、このケースでは住宅ローン減税が再適用されるのは、借り換え後の借入金総額の“2分の1のみ”ということになります。複雑で分かりにくい仕組みとは思いますが、「原則」と「例外」をしっかりと区別するよう、心がけることが必要です。

なお、余談ですが「連帯債務」と「連帯保証」はその意味が異なります。混同しないよう、併せてご注意ください。

再適用後の住宅ローン減税 「適用期間」についての誤解


続いて、住宅ローン減税の「再適用期間」に関する誤解にも触れておきましょう。住宅ローン減税が“期間終了”した後に借り換えした借入金に対しては、一切、住宅ローン減税は適用されないことはご存じでしょうか? 以下、具体例で見てみましょう。

たとえば、1998年入居の方はローン減税の適用期間が最長6年でした。そのため、もし、今年(2007年)に借り換えを行っても、すでに還付請求の権利は使い果たしてしまっているため、借り換え後の借入金はローン減税の対象とならない、ということです。

一方、2004年入居の方(適用期間は最長10年)は、最長2014年まで還付を受けられることとなっています。そのため、今年(2007年)に借り換えをしても、借り換え後の借入金に対して住宅ローン減税の恩恵を“引き続き”受けることができます。しかし、借り換え後のローン減税の適用期間は、最長10年にならない点に注意が必要です。

というのも、新しい借入金に対するローン減税の適用期間は、借り換え前の残存適用期間を最長として計算することになっているからです。つまり、本来、2007年中に入居すると適用期間は最長10年または15年が与えられますが、借り換えを伴う場合は従前ローン減税の“残されている適用期間”しか引き継ぐことができないため、本ケースでは最長7年間(2014年まで)となってしまうのです。

借り換えても、住宅ローン減税の適用期間は延長されない……このことをしっかりと覚えておいてください。


【参考】 住宅ローン減税 最長適用期間と最大控除額の推移
入居年最長適用期間最大控除額
1998年6年間180万円
1999年~2001年6月末15年間587万5000円
2001年7月~2004年10年間500万円
2005年10年間360万円
2006年10年間255万円
2007年10年または15年間200万円
2008年10年または15年間160万円


【住宅ローン減税2009年 確定申告に関する記事】
「住宅ローン減税」確定申告09年/適用条件
「住宅ローン減税」確定申告09年/必要書類
「住宅ローン減税」確定申告09年/リフォーム
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