住宅購入の費用・税金/確定申告・住宅ローン減税

借り換え時の「住宅ローン減税」ここに注意

金利上昇リスクを嫌気して、住宅ローンを借り換える割合が増えています。しかし、適用条件を無視して借り換えると、「住宅ローン減税」が以後、受けられなくなる恐れがあります。そこで、注意点をまとめてみました。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド


借り換え時の「住宅ローン減税」 ここに注意!
住宅ローン金利の上昇スピードは、07年9月に入り総じて減速(引き下げ)の様相となりました。ご存じ、サブプライムローン問題が米国、そして世界経済に信用不安を広げたことで、先進主要国を中心とした「利下げムード」が台頭。この影響が日本の金融市場にも及んだことで、利上げを抑圧する一因につながったからです。

しかし、06年3月の「量的緩和政策」解除以降、日本の短期金利は上昇を続けており、1年半前とくらべ短期系の期間選択型住宅ローン(いわゆる「3年固定」など)は1.5%程度の金利上昇を見せています。

その結果、こうした金利タイプのローンを借りている人を中心に、住宅ローンの借り換えが活発化。特約期間の終了に合わせ、思い切って固定期間の長い金利タイプへ変更しようという人が増えることとなりました。金利上昇リスクへの予防線を張ろうという考えです。

確かに、「借り換え」はローンメンテナンスの常とう手段です。従って、借り換えること自体は評価できる行動です。しかし、その際に注意しなければならない点があります。「住宅ローン減税」との関係です。住宅ローン減税の“再適用”を受けるには、一定の条件が必要となります。そのため、適用条件を無視して借り換えてしまうと、せっかくの減税が以後、受けられなくなってしまう恐れがあるのです。それだけ、再適用条件を把握しておくことが重要な意味を持つこととなります。

借り換え後に「再適用」を受けるための2つの要件


そこで、まずはローンを借り換えた際に、住宅ローン減税を再び受けるための基礎的要件から話を始めましょう。以下、国税庁のホームページからの引用です。

住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税)の対象となる住宅ローン等は、住宅の新築や購入、あるいは、増改築などのために“直接”必要な借入金または債務でなければなりません。従って、住宅ローン等の借り換えによる新しい住宅ローン等は、原則として住宅借入金等特別控除の対象とはなりません。しかし、次の2つの要件すべてに当てはまる場合にかぎり、住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等として取り扱われます。


  1. 新しい住宅ローン等が、当初の住宅ローン等の返済のためのものであることが明らかなこと
  2. 新しい住宅ローン等が10年以上の償還期間であるなど、住宅借入金等特別控除の対象となる要件(※)に当てはまっていること

そもそも住宅ローンの借り換えとは、新たに住宅ローンを組むことで従前の住宅ローンを一括完済することです。“住宅ローンのための住宅ローン”というと、分かりやすいかもしれません。そのため、借り換え後の住宅ローンは住宅取得等を“直接的”な目的とした借り入れではなくなってしまうため、原則として住宅ローン減税が再適用されなくなる理屈です。現在、認められている再適用は、あくまで“例外的”な位置付け(=条件緩和)であることを理解しておきましょう。

なお、こうした取り扱いは、たとえば知人からの借入金を銀行の住宅ローン等に借り換えた場合や、償還期間が10年未満であった借入金を償還期間が10年以上となる借入金に借り換えた場合にも当てはまる、とホームページには記載があります。お心当たりの方は確定申告することで、新たに住宅ローン減税の恩恵を享受することが可能となります。

【参 考】
住宅ローン減税の基本的な適用条件については、国税庁のホームページで確認できます。

☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆

次ページでは、「連帯債務の対象となっている借入金を借り換えた場合の注意点」、および、「再適用後の住宅ローン減税に関する適用期間についての誤解」についてお話します。
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