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謙譲語II(丁重語):自分の行為などを丁重にのべる言葉
丁重語と美化語の2つが新たに出来ました。 |
「小社」、「弊社」など、ビジネスシーンでよく使うこうした表現は、この丁重語にあたります。 その他にも、「参る」、「いたす」、「おる」などもそう。
主に自分側の行為やものごとをあらわす際に、丁重にあらわす言葉です。謙譲語IとIIの違いは、謙譲語Iが、言葉が「向かう先」に対しての敬語である一方、謙譲語IIは言葉の「相手」に対する敬語だということ。
混乱しがちなのは、「伺う」謙譲語Iと「参る」謙譲語IIの使い分け。丁重語は、話の相手に対する敬語なので、例えば、取引先A社の社員と話をしている場合、
・午後からは、B社に伺います。(B社を立てている)
・午後からは、B社に参ります。
(A社に対して丁重に話しているだけで、B社に対しての敬語の意味はなし)
という形になります。
丁重語には、自分側の行為以外にも、例えば、「電車が参ります」というように、立てて表現してもおかしくない「第三者」や「事物」についても使います。
・(A社の社員に向かって)「この後は、弊社に参ります」
なんだか変なのは、分かるけれど、何が間違っているか分かりますか?「弊社」を立てること自体がおかしいので、間違った言い方。「弊社に戻ります」といいましょう。
丁寧語と美化語
■丁寧語丁寧語は、文字通り、丁寧に述べる言葉。「~です」「~ます」などをさします。「です・ます」よりもさらに丁寧さが増す「~(で)ございます」という表現もあります。
これまで見てみた敬語とは違い、誰を立てるのか、などは考える必要がなく、幅広く使うことができます。
丁重語は丁寧語よりも、より改まった言葉として考えるといいでしょう。
■美化語
「お名刺」、「お写真」、「お弁当」、「ご飯」、「御祝儀」など、言葉の前に「お」や「ご・御」を付けて、相手を立てたり、丁寧に述べるのではなく、美化して表現する際に、用います。
ただし、「お加減」、「お忙しい」などは、相手を立てることになるので、美化語ではなく、尊敬語にあたります。
また、「○○さんがご説明されたとおり」という場合は、尊敬語、「○○さんにご説明いたします」という場合は、謙譲語Iと、立てるべき対象によって変わる場合もあります。
敬語を使い方の注意
敬語は使い方や分類がわかっただけでは、ダメ。いくらきちんと敬語を使えても、そもそもなぜ敬語を使うのかを考えなくてはいけません。例えば、突然、「明日までに、企画書の作成、お願いいたします。」といわれたら、どう感じますか?「明日までに、企画書を作ってください」という表現よりは、マイルドな感じは受けますが、確かに敬語でお願いをされているけれど、あまり丁寧な印象を受けないですよね。こういうときには、「お忙しい中、申し訳ないんだけれども」や「すいませんが」という言葉を前に付けると、相手に対する配慮を感じられるようになり、ずいぶんと違う印象になります。
また、「~してください」「~お願いします」よりも、「~していただけますか」、「~お願いできますか」と婉曲表現で尋ねられたほうが、より丁寧な感じを受けますよね。
敬語はコミュニケーションを図っていく上では、必要不可欠な円滑油です。ビジネスの上で、相手によい印象を与えたり、逆に悪い印象をあたえてしまったり。是非、この機会にもう一度敬語の使い方を確認しませんか?
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■参考
・文化審議会答申 敬語の指針(PDF) 2007年2月2日