文章:西村 吉郎(All About「転職のノウハウ」旧ガイド)

正社員とは違う?契約社員の雇用条件について解説

待遇,賃金,休暇,福利厚生

契約社員の待遇、休暇、賃金などの疑問を解説


■ 契約社員とは?正社員との違いを解説

■ 契約解除について
契約社員が退職するときの意思表示はいつまでにすればいい?
契約期間の途中で退職するには?
契約社員は条件に疑問があっても辞められない?
契約期間が残っているのに契約打ち切りに

■ 契約社員の待遇について
契約社員は退職金をもらえない?
契約社員に慶弔休暇がないのが納得できない

■ 契約社員と雇用保険の関係
契約社員でも失業給付の再就職手当を受給できる?
契約途中で辞めたら損害賠償を請求される?


■ 契約解除について

Q:契約社員が退職するときの意思表示はいつまでにすればいい?

毎年3月31日までの単年度契約で働いています。私のような場合で、契約を更新したくないときには、どれくらい前に意思表示したらいいのでしょうか? また、契約の途中で退職するときはどうなりますか?

A:就業規則に従って更新拒否の意思表示を

アルバイト、パートタイマー、嘱託社員、契約社員などのように雇用期間に定めのある労働契約を結んでいる場合、期間の満了によって労働契約は終了するのが原則です。この場合、使用者あるいは労働者が「更新を希望しない」と意思表示をしなくても、契約はその満了日をもって自動的に解除されます。

ただし、少なくとも1回以上契約を更新している場合には、使用者あるいは労働者のいずれかが、期間満了時後の雇用継続を期待している可能性もあるため、更新を希望しない側は、事前に「期間満了をもって契約を解除する」意志を表示する必要があるのです。

契約社員などの就業規則には、一般に、会社側または労働者側が契約更新を希望しない場合に「○日以上前に申し出るものとする」といった規定が設けられているので、少なくともその時期までに意思表示をすることになります。

契約期間の途中で退職する場合には、就業規則の退職に関する規定に従うことになります。注意したいのは、労働者の側からの契約期間の途中解約は、本人の病気など特別な事情がない限り認められていない点です。「ほかの仕事に就きたい」という理由だけでは特別な事情には当たらないため、会社側は契約の履行を求めることができます。また、無理に退職すれば損害賠償を請求されることもあります。


Q:契約期間の途中で退職するにはどうすればいい?

1年契約で商品企画の仕事に就いたのですが、最近独立した知人から「うちに来て働かないか」と誘われました。契約途中ではありますが、知人の会社に転職しようと思っています。どのような退職手続きをとればいいのでしょうか。

A:特別な事情以外では契約の途中解除はできない

労働者は、憲法などによって、だれにでも職業選択の自由が保障されています。しかし、雇用の期間を半年あるいは1年などと特別に定めた雇用契約を結んでいる場合には、民法の規定に従って、契約の当事者である会社と労働者の双方とも、この契約を履行する義務を負うことになります。つまり、契約社員の場合には労働者側、会社側ともに、契約を途中で解除することを制限されているのです。

ただし、その場合でも、労働者と会社のいずれかに、契約を継続するのが困難となる、やむをえない事情が生じた場合には、双方の合意によって契約を解除することができることになっています。ここでいう「やむをえない理由」とは、労働者本人が病気やけがなどで業務を続けられなくなったとき、また、家庭の事情で転居し、通勤が不可能になったときなどのことです。会社側の事情としては、急激な経営環境の変化などで、事業の継続が不可能になったときなどが挙げられます。

あなたのように、他社に転職したいからといった理由では、本来は正当な理由としては認められません。しかし、会社の判断次第では、あなたの希望を受け入れる可能性もありますから、誠意を持って相談してみてください。


Q: 契約社員は雇用条件に不満があっても辞められない?

IT系会社に契約社員として採用されたのですが、入社1週間後になって、入社前の説明にはなかった業務を担当することになりました。納得がいかないので辞めたいと伝えても、契約に反するということで辞めさせてもらえません。

A:原則は解約できないが会社側の契約違反なら辞められる

契約社員として雇用期間を限定する労働契約を結んだ場合、会社も労働者もこの契約に拘束されます。正社員ではこのような雇用期間の定めをすることはありませんので、いつでも労働契約を解除する(退職する)ことができます。しかし、契約社員の場合では、雇用期間を定め、双方が納得して労働契約を締結した以上、労働者も会社も、契約期間の途中で勝手に契約を解除することは原則として認められないのです。したがって、あなたが契約期間の途中で退職を申し出ることは原則として不可能ですので、会社の主張は正当と判断すべきでしょう。

しかし、採用時に会社が示した労働条件(就業の場所、業務内容、労働時間、賃金など)が履行されないとき、または実態と異なるときは、正社員同様、契約社員であっても、この契約を解除することができます。

あなたの場合、契約の段階で説明された仕事内容とは異なる仕事に従事するよう指示されたとのことですが、もし、新たに指示された仕事が、契約時に示された業務内容に含まれる範囲の仕事であれば多少の相違として容認すべきでしょう。しかし、明らかに契約内容とは異なる業務を担当させられるのであれば、会社側に契約不履行であることを伝え、退職を再度申し出てみてください。

Q:契約期間が残っているのに契約打ち切りに

契約期間1年の契約社員として働いてきましたが、契約を半年余り残して、業務の縮小を理由に契約の打ち切りを通告されました。しかたないとあきらめるほかないのでしょうか。

A:特別な事情がない限り中途解約はできない

正社員の場合、雇用契約に期間の定めはなく、いつでも退職することが可能です。しかし、「契約期間は1年」などと期間の定めがある雇用契約を結んだ契約社員やパートタイマーの場合には、とくにやむをえない理由がなければ契約を解除することができないとされています。

この期間の定めは、労働者だけでなく使用者をも拘束します。つまり、労働者の側からすれば、ほかにいい仕事が見つかったからなどの理由で契約の期間中に退職することは認められません。会社の側からも、予定していた仕事がなくなったなどの理由では、契約の途中で解雇するのは原則として許されていません。

ただし、労働者の側からは、本人が病気やけがなどで業務を続けられなくなったとき、家庭の事情で転居し、通勤が不可能になったときなどのやむを得ない事情が生じたときは、契約の中途解約も認められます。

同様に、会社側にも、人員の削減など大幅なリストラを実施することが経営上やむを得ないと認められるような事態のときは、会社の側からの解約が認められます。

質問の内容だけでは解雇の通告を受けたときの状況がわかりませんが、あなたのケースは、労働基準法第20条における解雇としての扱いか、民法第628条に定める損害賠償請求の、いずれかが該当すると考えられます。あきらめずに交渉してみましょう。

次ページでは賃金や待遇について解説します。