契約社員、パート、アルバイト、嘱託社員など、呼び方は様々ですが、雇用契約の期間に定めがある有期雇用で働く人が退職すると、その保障内容は正社員と異なる場合があります。

退職前に知っていれば良かった!知っていれば退職時期を考えたのに!と後悔しないよう、有期雇用者が退職を考えるときに知っておくべき知識を解説します。
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契約社員が退職を考えたときに注意すべきこと



雇用契約期間途中の退職は「合意があれば」可能

6ヶ月や1年などの雇用契約期間を決めて雇用(有期雇用契約)されている場合、原則、契約期間途中での退職は認められません。

退職届を提出すれば、自由に退職することができるように思えますが、それは正社員のように雇用契約期間の定めがない場合です。雇用契約期間を定めた雇用契約書に署名をしている以上、その期間は働く義務があるのです。

ただし、雇用契約期間の途中であっても、退職届を提出して会社が認めた場合(自己都合退職)は、退職することができます。同様に、会社から契約期間途中の退職を言われた場合でも、労働者が同意さえすれば問題ありません。その場合、契約解除(退職)をどちらから働きかけたかが分かるよう、必ず書面で通知してもらいましょう。

退職後に失業手当を受けるための要件

退職後に失業手当を受けるための要件は、以下です。

・退職日の前2年以内に
・出勤日数が11日以上の月が12か月以上あること

契約期間途中の退職が会社からの働きかけによるときは、解雇(会社都合退職)と同じ扱いとなり、2つめの要件が「出勤日数が11日以上の月が6ヶ月以上あること」に緩和されます。

例えば、1年の雇用契約で働いていて、6ヶ月を過ぎた頃に契約期間途中の退職を通知されたのであれば、要件の緩和によって失業手当を受けることができるうえ、自己都合退職で発生する「3ヶ月間の待期期間(給付制限)」もなくなります。

雇用契約期間途中の退職は、損害賠償請求されることも

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契約途中の退職は損害賠償請求されることも

有期雇用契約を契約期間の途中で解除(退職)することは、「やむを得ない事由」がない限りできません。双方が署名した雇用契約書で決められた期間途中での解除が認められるためには、仕事が嫌になった、次の仕事が決まった程度の理由では不可です。

労働者自身の死亡、病気のために出社できない状態、または、会社が約束した雇用契約の内容を守らなかった場合など、かなり厳格に判断されます。

雇用契約期間の途中解除が債務不履行であり、損害賠償を請求することができるとはいえ、有期雇用契約の期間は最大でも3年(60歳以上は5年)です。労働者が期間途中で退職したことによって発生する損害額も、それほど大きなものになるとは考えにくいことから、実際に裁判となる例は少ないようです。

それでも、辞め方によっては支払督促や内容証明が送られてくることはあり得ます。契約期間満了まで就業できない理由があるなら、誠意をもって会社と話し合いましょう。

失業手当をもらうなら「雇用契約期間満了」の退職がベスト

有期雇用契約であっても、要件を満たせば失業手当を受けることができます。自己都合退職の場合は、失業手当を受給できるまでに3ヶ月の待期期間というペナルティが科されますが、有期雇用者が雇用契約書に記載された雇用契約期間の終わりをもって退職する場合は、3ヶ月を待つことなく受給することができます。

雇用契約期間の途中に退職したい!と思っても、契約期間の満了日が近づいているのであれば、少し我慢してみましょう。次の転職先がすぐに決まればいいですが、収入のない期間が3ヶ月にもなれば生活に支障が出るかもしれません。

「雇い止め」のとき、失業手当の優遇措置あり

有期雇用契約は、雇用契約書に記載された雇用期間が終了すれば退職するのが当然ですが、契約を更新することは認められています。とは言え、契約更新があるかが分からない状態では、転職活動をすることもできず不安定です。そこで、「更新の有無」を雇用契約書に記載しなければならないとされています。

「更新の有無」欄には、以下の3つの区分が一般的です。
  • 更新する
  • 更新することがある(更新があり得る)
  • 更新しない

「更新する」「更新しない」は、次の更新の有無が明確です。「更新することがある」の場合、いつまでに通知されるのでしょうか?以下の場合、契約更新をしないのであれば、会社は1ヶ月前までに通知しなければなりません。
  • 有期雇用契約が3回以上更新されている
  • 1年を超えて継続して雇用されている

裁判では、2か月の雇用契約を20回以上にわたり更新した例がありました。契約更新が例外なく行われている場合や、更新を期待させる言葉をかけていた場合などは有期雇用契約ではなく無期雇用契約とみなして、正社員と同様の保障をすべきと判断しています。

そのため、失業手当の日数を決める基準では、以下の場合、解雇と同様の保障をすることとされています。
  • 有期雇用契約が更新されることで
  • 継続3年以上雇用されている者が
  • 契約更新されないとき

ただし、継続して雇用された期間が3年以上のときは、正社員と同様の扱いとなり、自己都合退職または会社都合退職のどちらかとなります。退職を考えるときは、継続雇用された期間が3年を超えるかどうかを確認しておきましょう。

契約更新で通算5年を超えれば「無期転換権」が発生

有期雇用契約の更新を繰り返して通算5年を超えたときに希望すれば、雇用契約期間の定めがない無期雇用に転換することができます。

無期雇用=正社員ではなく、会社によっては無期雇用転換者用の就業規則を別に作成している場合があります。転換を希望するときは、正社員と無期雇用、有期雇用の労働条件・待遇の違いをしっかりと把握しておきましょう。

出産予定があるときの退職時期

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出産予定がある時は特に退職時期に注意

有期雇用者であっても、産前・産後休業を取得することはできますし、要件を満たせば育児休業も取得できます。ただし、有期雇用者が育児休業を取得するためには、正社員と異なる要件があります。
  • 同じ会社で1年以上雇用されていること
  • 子供が1歳になる日を超えて雇用されることが見込まれること
  • 子供が2歳になる前日までに雇用契約が満了し、更新なしと明示されていないこと

正社員には1つめの要件がありません(労使協定で定めている場合もある)。入社して1年未満の場合、正社員だと育児休業を取得できるのに有期雇用者だから取得できない、という事態に陥ってしまいます。

この場合であっても、1年を超えるときから育児休業を取得することはできますが、産後休業の終わりから育児休業を取得できるまでに空白期間が発生することになり、近くに両親や親せきがいる場合でもない限り難しい状況です。

また、育児休業中は雇用保険から「育児休業給付金」を受給することができます。要件は以下です。
  • 休業の開始日前2年以内に
  • 出勤日数が11日以上の月が12か月以上あること

同じ会社に1年以上の雇用期間があれば問題ありません。注意が必要なのは、直近に転職して2つの会社分を通算してカウントするときです。

通算するための要件は、
  • 前職を退職したときに失業手当の受給手続きをしていないこと

失業手当を受給していないから大丈夫!と誤解しがちですが、ハローワークで「失業手当の受給手続き」をしていれば、記録上は失業手当を受給したのと同じ扱いになってしまいます!

出産予定があるときは、転職時期をしっかりと考えて動きましょう。 

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