定借マンションの地代は、平均月額で1万3616円
定借マンションには、当然、デメリットも存在する。 |
- 管理費や修繕積立金とは別に、毎月、地代や解体準備金を払わなければならない
- また、その地代が値上げされる心配もある
- 売却しようとした際、一般に定借マンションは完全所有権マンションに比べて買い主が見つけにくい
- 借りられる住宅ローンに制約が出てくる
- 契約期間が満了すると、その後の更新は一切認められず、建物は解体・更地にして地主に返還しなければならない
- その解体費用は全額、マンションの区分所有者全員で負担しなければならない
さらに、解体費の負担も無視できません。東京都内のある定借マンション(総戸数385戸 定借期間52年)では、「解体準備基金」として専有面積75平方メートル程度の住戸で約800万円を入居時に支払うことになっています。
その上、管理費などとは別に「解体準備金」として、同じく75平方メートル程度の広さでおよそ6000円を毎月、徴収します。都心の一等地ということもあり、かなり極端な例ではありますが、定期借地権住宅の普及を妨げる要因(重い負担)であることは間違いないでしょう。
「利用価値」を“資産”と思えるかが判断の分かれ道
バブル崩壊により「土地神話」が成り立たなくなってから18年。将来的な値上がり期待が望めなくなった今、完全所有権のマイホームを手に入れたところで、その将来価値(資産性)は誰も約束してくれません。にもかかわらず、所有権住宅に執拗(しつよう)にこだわることは、かえってリスクを背負うことになりかねません。
これまで、住宅は「買う」か「借りる」かの二者択一しかありませんでした。しかし、定借住宅の登場により「分譲」でもない「賃貸」でもない“第三”の領域(居住形態)が誕生することになりました。つまり、「所有」と「利用」の“いいとこ取り”をしたのが定期借地権住宅なのです。
前述したようなデメリットも内在しますが、「所有」から「利用」へと価値観が変化する中、利用価値を“資産”と考えれる人は、抵抗なく定借マンションを選択肢に加えることができるでしょう。資産価値とは一体何なのか?―― 本コラムが、その答え探しのきっかけになれば光栄に思います。