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社会人でもOK!大学の奨学金・給付金・授業料免除制度とは

社会人とは言え、大学進学にかかる学費の支払いは大きな障壁。ですが、社会人も対象に含めた支援制度がある大学もあります。今回は社会人でも受けられる奨学金や給付金、案外知られていない授業料免除制度について紹介します。

西島 美保

執筆者:西島 美保

社会人の学びガイド

働く人のキャリアは多様化し、社会人になってから大学や大学院で勉強することはもはや珍しいことではなくなりました。しかし実際に進学が具体的になったとき、やはり、壁となるのが学費。この記事では社会人でも使える奨学金や給付金、授業料免除制度について紹介します。
 

社会人でも奨学金や授業料免除制度を受けられる

一般的に大学への納入金は2022年度現在、国立大学では初年度計81万7800円(入学金28万2000円、授業料53万5800円)、私立大学で130万~150万円前後(医を除く)となっています。特に理系や芸術系学部では、文系より高いのが一般的です。学費の支払いは、収入がある社会人にとっても頭の痛い問題ですね。

学費納入は、当たり前ですが期日を守らなければなりません。合格後、決められた期間以内に手続きをしなかった場合は、「入学の意志がない」として、辞退とみなされてしまうので要注意です。

せっかく大変な思いをして合格しても、学費を期日までに支払えなければ大学で勉強することはできませんので、大学進学を考えた際にはまずどのように学費を準備するかを考えておきましょう。また授業で使う教科書代や交通費、ゼミ合宿費など、学費以外の出費も意外に多いので気をつけましょう。
   

日本学生支援機構は社会人でも利用できる?

奨学金事業を行う日本学生支援機構には、給付型奨学金(返還不要)と貸与型奨学金(返還必要)があります。貸与型は、奨学金という名前ではあっても卒業後に返還しなくてはならない、つまり「借りているお金」。無利子の第1種奨学金と有利子の第2種奨学金の2種類があります。

申し込める人は給付型、貸与型どちらも、1)初めて高等学校を卒業予定の人 2)初めて高等学校等を卒業後2年以内の人 のいずれかで、学力基準と家計基準の両方を満たす人が対象となります。日本学生支援機構のシミュレーターで対象かどうか確認できます。

すでに社会人になっている方は、在籍する大学を通じて申し込みを行うことになります。
 

日本学生支援機構の給付型奨学金(返還不要)

給付型奨学金は2020年に新たに創設されたもので、経済的理由から学ぶことをあきらめることがないようにという理由でスタートしました。世帯の収入に応じて入学金や授業料の免除や減免に加え、生活費のサポートのための奨学金が給付されます。

給付額は、自宅通学か自宅外通学か、国公立大学か私立大学かで異なります。例えば私立大学・自宅外通学だと、満額支給では7万5800円が原則毎月1回振り込まれます。
 

日本学生支援機構の貸与型奨学金(返還必要)

貸与型奨学金はお金を借りる形(つまり卒業後に返さなければならない)のものであり、第1種と第2種の2つあります。
 
(1)第1種奨学金
第1種は無利息の奨学金で高等学校における申し込み時までの評定平均が3.5以上か、意欲があり優れた学習成績を修める見込みがあるが経済的理由(生計維持者(原則父母。父母がいない場合は代わって生計を維持している人)で住民税が非課税(市町村民税所得割額が0円)である者、生活保護受給世帯である者または社会的養護を必要とする者(児童養護施設等入所者、里親による養育を受けている者等)、または高等学校卒業程度認定試験合格者で、経済的理由により著しく修学困難な者に貸与されます。失業や災害などで家計急変のため修学困難になった方は、緊急採用扱いで第1種奨学金(無利子)が受けられます。

貸与額は以下です。
自宅通学月額(私立大学2万円、3万円、4万円、5万4000円、国立大学2万円、3万円、4万5000円のいずれかから選択可能)
自宅外通学月額(私立大学2万円、3万円、4万円、5万円、6万4000円、国立大学2万円、3万円、4万円、5万1000円のいずれかから選択可能)

(2)第2種奨学金
第2種奨学金は利息付きで、第1種奨学金よりゆるやかな家計基準によって選考された者に貸与されます。貸与額は、月額2~12万円の間で1万円刻みで選択できます。私立大学の医・歯・薬・獣医学課程については、奨学生の希望に応じ、医・歯学課程は4万円、薬・獣医学課程は2万円、12万円から増額可能です。

第2種奨学金の利率の算定方法は、(1)利率固定方式及び(2)利率見直し方式のうち、いずれか一方を申し込み時に選択しますが、奨学金の貸与が終わるときにその時々の景気等に合わせて決定されます。
 

各大学独自の奨学金

各大学でも様々な奨学金を用意しています。1番多いのは「経済的な理由等で、学費の支払いが著しく困難な者」を対象とする奨学金です。一方、経済的な理由がなくても成績優秀者に支給される給付型奨学金も多数あります。なお、日本の大学で実施している奨学金はたいてい入学後に奨学金申請期間を設定しており、初年度の学費納入は必要となるケースが多いので注意が必要です。

早稲田大学における奨学金
早稲田大学は、家計の事情で進学が厳しい方や児童養護施設または養育里親家庭で育った里子などを対象とした、150種類もの大学独自の奨学金を設けています。

社会人が受けられる奨学金としては、例えば優秀な若手研究者を養成することを目的として2009年度に設置された「大学院博士後期課程若手研究者養成奨学金」があります。この奨学金は出願資格をすべて満たした方に支給されます。研究科によって金額は異なりますが20万円~最大60万円ほどの給付で、返還義務はありません。給付対象者は以下です。
  • 2009年度以降入学の在学生(再入学を除く)
  • 博士後期課程(一貫制博士課程)の正規学生で、標準修業年限内の者
  • 奨学金を受ける年度の4月1日時点で満30歳未満の者

慶應義塾大学における奨学金
慶應義塾大学では、学業に専念できる環境を整え、良識ある知識人として活躍できる人材育成の支援を目的に、成績優秀者を対象とした奨学金、家計状況が急変した際の奨学金、学費を支援する奨学金、地方出身者を対象とした入学前予約型奨学金 、海外でのグローバルな学習活動を支援する奨学金など 110種類が用意されており、いずれも返還義務のない給付型奨学金となっています。

社会人が受けられるものとしては、成績優秀者が対象の「慶應義塾大学奨学金」や「三田会記念大学奨学金」があります。また同大学では新型コロナウイルス感染症拡大に伴う支援制度も設けられており、経済的支援を目的とした奨学金も用意されています。
 

大学ごとの入学金・授業料免除制度を利用する手も

大学には奨学金とは別に、入学金や授業料を免除(もしくは割引)する制度があります。

入学金減免制度は、その大学の卒業生や、卒業生の家族が入学するときに入学金が半額や何割か割引になるものや、社会人入学者を対象にしたものなどがあり、いくつかの大学がその制度を持っています。例えばご両親や兄弟が卒業した大学に入学する、ご自身が卒業した大学の大学院に進学するなどのケースがあてはまります。これは申請しないと適用されないので注意が必要です。

授業料免除制度とは、主に「経済的理由により授業料の納付が困難でかつ成績優秀な者に対し、選考の上免除する」というものが大半です。募集期間や募集要項は各大学で定められており、その際世帯の収入がわかる書類の提出が求められことが一般的です。

以前は社会人入学を推進するために社会人入学者特別の制度が多かったのですが、ここ最近は社会人対象の入学金・授業料減免制度を取りやめる大学が増えており、残念です。
 

社会人を対象とした各種割引制度

社会人対象の減免制度が削減されている中、今でも社会人対象の制度を実施している大学もあります。

名古屋学院大学 社会人学費減免制度
社会人入試において入学した社会人対象の授業料を減免する制度。全学科に適用が可能で、各学部の授業料半額相当が減免されます。毎年申し込み手続きを行えば4年間減免を受けることができます。

対象者は下記の通り。勤務経験には、主婦を含みます。
  • 24歳以上
  • 高校を卒業後6年以上の勤務経験
  • 短大の課程修了後4年以上の勤務経験
  • 大学卒業後2年以上の勤務経験

兵庫大学 学費等奨学金 社会人特別方式入試制度
大学入学時に3年以上の社会経験(職業または家事に従事)が見込まれる満21歳以上が社会人特別方式入試で入学する場合、入学金(20万円)が免除されます。なおオープンキャンパスに参加後、アンケートに回答することで入学検定料が1万円減額されます。

※制度は変更されることもありますので、必ず各大学の最新情報を確認して下さい。
 

社会人の強み! 厚生労働省の教育訓練給付金制度を利用しよう

教育訓練給付制度とは、働く人たちの能力開発やキャリア形成を支援し、雇用安定を目的とした制度で、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に受講費用の一部が支給されるものです。

一般教育訓練給付金、専門実践教育訓練給付、特定一般教育訓練給付金などがあり、いずれも雇用保険の加入期間が受講開始日現在で3年以上(初めて支給を受けようとする方については、当分の間、1年以上)ある人が、厚生労働大臣指定の学校(専門職大学院など)を修了した場合に費用補助が受けられます。

専門実践教育訓練は大学院などの教育訓練が対象となり、受講費用の50%(年間上限40万円)が訓練受講中6カ月ごとに支給され、資格取得等をし、かつ訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は受講費用の20%(年間上限16万円)が追加で支給されます。

例えば東京大学法学政治学研究科法曹養成専攻(未修者・既修者 コース)や早稲田大学経営管理研究科夜間主プロフェッショナル ファイナンス専修MBAプログラムなどの他、昭和大学看護キャリア開発・研究センター認定看護管理者教育課程セカンドレベル城西国際大学大学院 中小企業診断士登録養成課程などがあります。(厚生労働省専門実践教育訓練指定講座一覧

特定一般教育訓練は再就職及び早期のキャリア形成に役立つ教育訓練が対象となり、受講費用の40%(上限20万円)が訓練修了後に支給されます。一般教育訓練は、上記以外、主に就職の促進等を対象としたものとなり、受講費用の20%(上限10万円)が訓練修了後に支給されます。例えば公認会計士や社会保険労務士講座、介護士講座、語学講座など多種にわたっています。大学に行くほどではないけれど学びたいものがある、取りたい資格がある、という方は特定・一般教育訓練の指定講座がおすすめです。指定講座は下記から検索できます。

教育訓練給付金制度厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システム(中央職業能力開発協会)
・もっと詳しく知りたい方はこちら→学費の8割が戻ってくる?

いかがでしたか。様々な制度がありますがいずれも自分で申請しないともらえないものばかりです。社会人が大学進学を考えたとき、つい「自分は対象にならないだろう」と考えがちですが、実際には社会人でも適用されるものも多数ありますので、志望大学のホームページやオープンキャンパスなどで情報収集してみましょう。


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