判決に怒り!日本は遅れている
学びたい気持ちに年齢は関係ないはず |
次に国立大学及びこの判決に対する意見を紹介しよう。
ガーランドさん(30代男性)
「年齢制限がないとする大学側の姿勢は褒められたものじゃないと思います。事実、合格点に達しているにも関わらず理由も不明確(正式なものは未だない)なままに不合格にするなんて。多額の税金を投入して医師を育てているというのは理解しています。
しかし、それが前提ならなぜ受験資格に年齢制限を設けないのかは疑問です。体裁ばかり気にするお役所気分が抜けない国立大学は姿勢を正すべきではないでしょうか。」
こんこさん(30代女性)
「教育を受けるのになぜ差別されるのかが理解できません。海外の大学院には、定年後の人でも専門課程に通っている人が何人もいました。55歳であろうと、国公立大学の医学部の合格点を取るというのは相当の努力をされているからで、それをもって体力、知力等は十分クリアしているとの証明になるのではないでしょうか。10年かかったとしても、その時その方なりの進む道はあるはずです。裁判官の判断は、この国がいかに遅れているか示すものです。不当な差別がこの国からなくなる日は何世紀先のことでしょうか。」
医学部に限らず、全国の国立大学法人にお願いしたいことがある。どの大学も年齢制限はないと謳っているが、それなら受験者と合格者の年齢分布を誰もが見られるようにホームページ等で公開して欲しい。必要な情報を公開せずに「年齢制限はありません」と言われても国民は納得できない。
学びたい人が学べる環境と夢が叶う社会を
年齢制限を容認する意見と、反対意見を紹介してきた。最後に、遠回りをして医師になったという方の意見を紹介したい。
夢はかなう社会を実現したいですさん(30代男性)
「私も遠回り組で医者になりました。年齢制限するよりも、その個人の個性を生かして、医者の育成をする方がいいのではないでしょうか?患者は医者に話を聞いてもらい、自分にあった治療を望んでいます。まずはそこからスタートすべきではないかと思っています。人生経験があると、聞き上手にもなりやすいかもしれません。」
今回、読者の方からの意見や取材を通じ、それぞれの説得力ある意見に悩みつつも私の中では一つの結論に至った。それは、上記意見を送って下さった方のニックネームでもある「夢は叶う社会を実現したい」ということ。そのために不当な差別は取り除かれるべきだし、もし年齢制限が暗に存在するとしたら、やはりそれは不当な差別だと思う。
体力・知力を気力でカバーできることもある。本人が出来ると思っているのに、周囲がそのチャンスを与えないなんておかしい。出来るか出来ないか、それは本人が決めること。
誰でも、学びたい人が学びたい時に自由に学ぶことが出来る社会の実現がされたならば、どんな社会になるのか、少子高齢化が進み、高齢者の力が必要不可欠な現代において、人生経験豊かな人の知恵と経験が何を生み出し、何をもたらすのか、私はこの目で見てみたい。
そして年齢など気にせず、挑戦したい人にはいつでもその場が与えられ、その挑戦を受け入れる社会を、将来を担う子ども達に贈りたいと思う。
(補足)
2006年11月6日、一審・前橋地裁判決で棄却された本訴訟原告の女性は、これを不服として東京地裁に控訴したと報じられた。東京地裁がどのような判断を下すのか、判決に注目だ。
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