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イスラエル・ハマス停戦は長続きするか?(2ページ目)

6月19日、イスラエルとパレスチナ過激派のハマスの停戦が電撃的に発表されました。この停戦がどの程度続くかは、すでに懐疑的な目を向ける者も現れています。

執筆者:鳥羽 賢

合意に達していない停戦の条件

パレスチナの地図
パレスチナの地図。ラファ検問所は、ガザとエジプトの国境の町・ラファにある。
今回の停戦合意に達する前に、すでにイスラエルとハマスの交渉は続いていました。イスラエル側は、ハマスが拘束しているイスラエル兵士の解放、ハマス側はラファ検問所の再開を停戦の絶対条件として挙げていました。

ラファ検問所とはガザの南にある検問所で、ガザからエジプトに出られる唯一の検問所でした。イスラエルによるガザ封鎖によって、現在までは閉鎖されています。

イスラエル・ハマスともにこれらの条件は飲めないため、今回の停戦ではこれらの条件抜きで合意しています。今後はこの交渉が続きますが、その決裂によって停戦が破られる可能性も否定できません。

どこまで続く?この停戦合意

停戦が発効したのは19日ですが、それ以来1週間ですでにロケット弾が打ち込まれる事態が何回も発生しています。打ち込まれたのはガザ地区に近いイスラエルの町・スデロトなどで、イスラム原理主義組織のイスラム聖戦が犯行声明を出しています。

このような不安定な状況に加えて、停戦合意が適用されるのはガザ地区だけとなっている不安要素もあります。ヨルダン川西岸地区は停戦が適用されないため、そちらで戦闘が起こり、それが引き金になってガザでも戦闘再開になるかもしれません。

すでにお話したように、ハマスは次回の大統領選で大統領の座を奪回したい狙いがあると見られています。それまではおとなしいかもしれませんが、その後に態度を変えるかもしれません。いろいろな角度から分析しても、見方によっては今回の停戦は「砂上の楼閣」と見えることもあるでしょう。今回の停戦が長期にわたって守られ、ガザ地区の人々や他のパレスチナの人々が平和に暮らせるよう祈るばかりです。

参考サイト

時事通信(2008/6/25)
毎日新聞(2008/6/18)
World Tribune(2008/6/24)
The Daily Star(2008/6/27)


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