社会ニュース/よくわかる経済

日本の明暗を分かつ“中国特需”(3ページ目)

世界の工場としての役割を担ってきた中国が巨大な消費市場に変化しつつあります。この特需は続くのか?恩恵を受けた日本経済への今後の影響は?中国を取り巻くリスクは?中国経済の基本と現状をお伝えします。

執筆者:石原 敬子

■サービス業の躍進発展の過程でのリスクは当然あるにせよ、その成長性は魅力的でもあります。未成熟な分野はこれから大きく期待される分野でもあります。今後「世界の組み立て工場」から、「消費するマーケット」へ移行しつつある中国。サービス分野の市場開放が、外資企業の進出を喚起していくことになると思われます。今後中国で期待されるのは第3次産業です。物流、保険、金融、アウトソーシングビジネス、コンサルタント、レンタル事業等が伸びていくのではないでしょうか。■中国がくしゃみをすると風邪をひく日本世界銀行が、4月20日に東アジア地域の経済情勢に関する報告書を発表しました。これによると、「2004年の中国の実質経済成長率は前年の9.1%から7.7%に減速するが、域内経済に与える影響は限定的」としています。東アジア地域全体では6.3%の成長を達成できると予測しています。この報告書では、中国政府の金融引き締め政策で中国の輸入が10%減少した場合、韓国や台湾の成長率を最大1ポイント、タイの成長率を最大0.5ポイント押し下げる可能性があると試算しています。ただ、日本の2004年の成長率が前年の2.7%から3.1%に上昇するため、中国の輸入が減少しても日本の輸入拡大である程度相殺できると見ているため、中国の成長減速が東アジア地域へ与える影響が限定的としているようです。ところが、日本経済の成長率は中国のお陰とも言える訳ですから、中国経済の減速により、日本経済の成長率も鈍化すると思われます。限定的と言い切って良いのだろうか、という疑問が残ります。直近までの中国の高成長は、日本の景気回復に大きく寄与してきました。中国への輸出や設備投資がシナジー効果となり、2003年の日本の成長率(+2.7%)に対して中国が貢献したのは+0.5~+1.0%ポイントとも言われています。従って、中国経済スピードが急降下したとすると、他のアジア諸国に対する影響も含め、日本経済の下振れリスクは一気に増幅してしまうと思われます。中国政府が引き締め政策を取ることなどにより、中国経済がより持続可能なペースでソフトランディングしている限りは、アジア域内経済の自律的回復とともに、中国経済が日本経済を牽引する基調は続くと思われます。成長が魅力的である中国経済、一方で潜在する問題点も多く、課題も山積しています。中国政府の対応には、今後も目が離せませんね。*関連リンク集「海外経済」*関連記事【今、中国株が熱い!1】「中国株を始めたきっかけは?」(All About Japan 株ガイドサイト)【今、中国株が熱い!2】「中国株の魅力は何ですか?」(All About Japan 株ガイドサイト)【今、中国株が熱い!3】「中国株この証券会社で買え!」(All About Japan 株ガイドサイト)
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