文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
4月に行なった「あなたの一票」アンケートでは、「成長性が魅力的!投資したい!」というユーザーのみなさまの声で、中国株の投資に対してが高まっていることを強く感じました。そこで今回は、2004年5月現在での中国を取り巻く経済環境や、今後の見通しについてお届けします。めざましい成長の反面、どういうことに警戒すれば良いのか、投資判断のヒントになればと思います。■GDP成長率9.8%!■中国でも貸し渋り?■楽観派VS慎重派■中国を取り巻くリスクはこれだ!■サービス業の躍進■中国がくしゃみをすると風邪をひく日本■GDP成長率9.8%!中国国家統計局は、中国の2004年1―3月期の国内総生産(GDP)伸び率を前年同期比9.8%と発表しました。これは速報値ベースから上方修正していて、その要因は、交通・運輸、通信、その他のサービス業の伸び率を見直した結果、第三次産業の伸び率が高まったからだそうです。『世界の工場』と言われていた中国が、『消費大国』に変わろうとしています。●日本のお客さんは中国中国では輸入が急増しており、4ヵ月連続の貿易赤字をもたらしています。貿易赤字は輸出より輸入が多いことを示します。原材料やエネルギーに対する需要が強く、原油や鉄鋼など原材料の価格上昇が主な理由のようです。中国の景気過熱を表しています。ただし、一方的に輸入だけが増えているわけではなく、3月、4月の足元の貿易統計を見てみると、輸出が前年同月比3割増、輸入が前年同月比4割増と、輸出入ともに貿易が活発なことが分かります。年後半に輸出が膨らむため、通年で赤字になるとの見方は少ないのですが、昨年まで続いていた黒字基調が揺らいだことで人民元を巡る論議にも影響を与えそうです。貿易品目に着目すると、輸出では機械・電子製品が好調で輸出全体の半分以上を占めています。輸入では一次産品と加工度の低い「初級産品」の伸びが著しい半面、鋼材や自動車の輸入増の勢いは衰えてきているようです。日本にとっても、中国は米国に次ぐ世界第2の貿易相手国となっているため、貿易統計は目が離せません。
■中国でも貸し渋り?中国人民銀行は、4月25日から預金準備率を現状より0.5ポイント高い7.5%に引き上げました。銀行から吸い上げる資金量を増やすということです。準備預金というのは、銀行が集めた預金の一定割合(預金準備率)を強制的に人民銀行に預けさせる制度です。それを引き上げるのは、中国経済の懸念材料になっている過剰融資を抑え込むことが目的です。これは、銀行の貸し出しを抑制することと経営内容を改善することを同時に狙っています。中国政府は、貸し出しを抑えることを再三に渡り、警告してきました。にもかかわらず、銀行貸し出しの伸びは急激で、鉄鋼やセメントなど素材産業の過剰投資も収まっていのが現状です。放っておくと資産バブルを引き起こし、新たな不良債権を生む可能性があるため、預金準備率を引き上げて、銀行からの貸し出しを抑える措置を取りました。人民銀行は3月25日に公定歩合を0.63ポイント引き上げたばかりで、それに続く金融引き締めとなりました。自己資本比率が低く不良債権比率が高い銀行には、今回の準備率改定と合わせてさらに0.5ポイントを上乗せして、8%の準備率を適用することにもなり、銀行の健全性により差をつけています。●貸し渋り政策、株式市場の反応は?先述の融資・投資規制、及び物価統制等の引締め策は、中国政府の「予防的」措置と見ることが出来ます。つまり、中国経済のソフトランディングに繋がるのではないかと思います。しかし、金融政策を受けて、中国の株式市場はどうなっているかというと、引締め策が中国経済の失速に繋がると懸念しているため、中国関連銘柄を中心に株価の下落を招いています。では、このような現状を踏まえ、どのような見通しとなっているのでしょうか?次のページでは、中国経済の今後についてお伝えします。