地下と地上に免震装置を設置
このところ免震構造の採用が目立つのがタワーマンションです。タワーマンションはもともと地震のときにゆっくり揺れる傾向がありますが、免震装置を組み込むことでさらに地震による建物の損傷や家具の転倒などを防ぐ効果が高まるといわれています。そんな免震タワーマンションのひとつが、『ル・サンク大崎シティタワー』(売主:NIPPOコーポレーション、住友不動産、施工:清水建設、NIPPOコーポレーション)です。地下基礎部分と地上の1~2階間とに免震装置を設置し、コアウォールと呼ばれる頑丈な壁で建物を支える「シミズ デュアルレイヤーコア免震システム」を採用することで、通常の免震構造より免震性能を25%アップさせています。建設地は地下約15mより下の地層がN値(※)60を超える強固な地盤となっており、杭を必要としない「直接地耐力基盤(ベタ基礎方式)」を採用して免震性能をさらに高めています。
(※)N値……地盤の硬さを表す数値。数値が大きいほど硬く、マンションの基礎や杭を支える支持層はN値50以上とされる
また、コアウォールが建物を支えるので住戸内の柱が少なくなり、間取りプランの自由度が高まっています。さらに地下の駐車場や機械室と上部の建物とが免震装置で遮断されているため、機械から出る音や振動も伝わりにくくなる構造です。
免震装置を多層階に設置することで敷地や共用部分のデッドスペースをなくし、従来の中間階免震構造より専有面積を広くつくれるという |
■『ル・サンク大崎シティタワー』のホームページ
制震と免震のダブル構造で揺れを低減
制震構造と中間免震構造との組み合わせで、地震の横揺れを2分の1~6分の1に低減する効果があるという |
横浜駅徒歩4分の立地に開発中の住宅・業務・商業の複合再開発施設『ファーストプレイス横浜』の7~36階に位置します。業務・商業フロアとなる建物の6階までは地震のエネルギーを吸収する働きのある制震壁を設置し、さらに6階と7階の間に免震装置を設置した「中間免震構造」を採用。制震壁で揺れを吸収し、さらに免震装置で揺れを低減する二重構造により、7階より上の住戸フロアの揺れを最小限に抑える仕組みです。
また、スケルトン・インフィルを採り入れている点も特徴的です。住戸内部を二重床・二重天井とし、共用排水管のパイプスペースを住戸外の共用廊下側に配置することで、躯体に手を加えずに間取り変更や配管・設備(インフィル)を交換できるようにしています。マンションの長寿命化には欠かせない手法といえるでしょう。
■『パークタワー横浜ステーションプレミア』のホームページ