ビジネスマナー/ビジネススキル

ビジネスで役立つ謝罪方法とは?5つのパターン別謝罪法

謝罪するときの態度次第で、相手の反応は変わってきます。それはビジネスにおいても同じです。実際にミスをしてしまったら、どういう風に謝罪すればいいのか、どんな表情で望むべきなのか、などをご紹介します。ぜひ参考にしてください。

執筆者:高田 貴久

ビジネスにおいて謝罪の仕方でその後の展開は変わる

ビジネスにおいて謝罪の仕方でその後の展開は変わる

ビジネスにおいて謝罪の仕方でその後の展開は変わる

みなさんは仕事で、プライベートで、失敗したことはありますか? 完璧な人間はいませんから、誰でもだいたいどこかで失敗した経験はあるはず。

細かなミスを繰り返す人と、普段は大丈夫なのに突然大きなミスをしでかす人の2つに大きくわかれるそうですが、みなさんはどちらのタイプでしょう? 私は明らかに後者のタイプで、何年かに一度大失敗をしています。

例えばコンサルをしていた若手の頃には、翌日の会議の資料を全部預かって帰ったのに、寝坊して新幹線に乗り遅れたり。事業会社での経営企画をしていた頃には、自分が招集した役員会議で、寝坊して社長以下全員を30分近く待たせてしまったり。他にも、ちょっと人には言えないような「絶体絶命のピンチ」に陥ったことが何度もあります。

そんな時、みなさんはどんな「謝り方」をしていますか? 謝り方を間違えてしまうと、かえって火に油を注ぐようなことになりかねません。また、ビジネスにおいては、下手に謝罪してしまうと「責任を認めた」ことになり、不利な状況に追い込まれることもあります。謝罪の仕方1つで、その後の展開が大きく変わるといっても過言ではありません。
 

<目次>

謝罪のパターンは幾つある?

私は謝罪の専門家ではないので(笑)、これが絶対に正しい謝罪方法だというのはわからないのですが、経営コンサルタント、事業会社の経営企画、ベンチャー社長という3つの立場で謝罪した時のことを振り返ってみると、大きく以下の5つのパターンを使い分けしている気がします。

1)愛想笑いでごまかす
2)真剣に反省している態度を見せる
3)普通のスタンスで議論する
4)冷淡な無反応で無視
5)謝罪を撤回して完全に逆ギレする

……これだけ見ると、全然反省しない人間のように見えますので(笑)、誤解のないように説明しておきます。

1)~5)のどのパターンで謝罪しようと、心の中で考えていることはいつも同じ。「自分が悪かった所は認めて、原因を考え、今後同じ過ちが起きないように反省し、相手の気持ちもおさめて万事がうまく運ぶように持っていきたいが、必要以上に不利な立場に追い込まれるのは避けたい」ということです。

大事なのは、謝ることによって相手の気持ちをおさめ、状況を打破し、再発を防止すること。みなさんは、謝罪のパターンを幾つ持っていますか? ちゃんと使い分けをしていますか?
 

1:愛想笑いでごまかす

多くの人が使うのはこのパターンです。失敗してしまった時に、頭をかきながら「えへへ、失敗しちゃった」と茶目っ気たっぷりの愛想笑いでごまかすパターン。

自分もたまにやります。が、この手が通用するのは「相手が自分のことを信頼してくれている親しい人」、かつ「そこまで致命的なミスではない」場合に限ります。どちらかの要素が欠けていると、この手は通用しません。

よくある間違いが「親しい人なら、愛想笑いすれば許してくれる」と考えること。いくら親しい人であっても、状況が深刻で、致命的なミスであれば、愛想笑いをしても許してはくれません。

この手でうまくごまかせれば、状況は一番丸くおさまるのでいいのですが、使う相手と、使う状況の見極めが大切です。
 

2:真剣に反省している態度を見せる

最もメジャーな謝罪方法が、これでしょう。真剣に反省している「態度を見せる」と書いた理由は、謝る時には、実際に真剣に反省しているか、「なんで自分が謝罪しなきゃいけないんだ」と実際は納得していなくても、反省の「態度を見せる」ことが大事だからです。

ちょっとうつむいて、少し伏し目がちに、肩を落として、言葉数少なく、「……すみませんでした」という態度を示す。私もこれは多用しています。

下手に反論したり言い訳したりするよりも、この態度をとりながら「すみません」を連発する方が、案外物事がすんなり収まったりするものなのです。

これは常套手段ですから、相手の反応が想像出来ない時は、まずこのパターンで望むのが無難です。

3:普通のスタンスで議論する

愛想笑いでごまかす 普通のスタンスで議論する

愛想笑いでごまかす 普通のスタンスで議論する

「謝罪しなくてもいいから、何が問題で、原因はどこにあって、どういう対策を取ろうとしているのか説明しろ」という方がいます。

例えば製品クレームが発生したような場合は、反省している態度を見せても何ともなりませんよね。「すみませんでした」という謝罪は必要最低限に留めておき、きちんと対策を取っているということを、普段と同じように議論しながら示していくことが必要です。

私は毎年学生を連れて、国立・県立の施設を利用して勉強合宿を開催していますが、夜遅くまで飲み食いして騒ぎ、宿舎の方に怒られたことがあります。

その時に、知人の1名がこのパターンで謝罪をしてしまいました。怒っている宿舎の人に対して、「おっしゃる通り、私の管理が不行き届きでした。管理が不行き届きだった理由は、私は引率者という立場にも関わらず、昨日早く寝てしまい、学生たちが何時に寝たのかを知らないんです。ただ私がそれを知らないこと自体は、私が管理者という立場である以上、これは問題であり……」と議論を吹きかけたのです。

宿舎の人が、ますます怒ってしまったのは、言うまでもありません。相手が、原因や解決策を求めていない時は、このパターンは避けるようにしましょう。
 

4:冷淡な無反応で無視

この辺りから、だいぶ危険な技になってきます。怒っている相手に対して、あえて冷淡で無反応な態度を取って、目の前にいながらにして無視するというやり方です。

これはどういう状況で使うかというと、「自分は相手に絶対に負けていないが、相手を一応立てる必要がある」という時です。

怒るというのは、ある意味で両刃の剣です。物理の「作用・反作用」ではないですが、こちらが相手に感情をぶつけると、同じように相手もこちらに何らかの感情を持つはずです。

自分が怒っている時に、相手が反論もせず、反抗的な態度もとらず、全くの無表情で自分の話を淡々と聞いていると、どんな気分になってきますか?

きっとだんだん、不安になってくるはずです。「もしかして、自分の言っていることはおかしいんだろうか?」と。相手にそう思わせることが出来たらしめたものです。主導権はあなたにあります。「いや、確かにこっちも悪かったんだけどね……」と相手が言い出すのも、時間の問題でしょう。

注意すべきは「反抗的な態度をとる」のではなく「無反応でいる」ことです。反抗してしまうとお互い様になってしまい、相手に不安感を与えることが出来なくなるので気を付けましょう。
 

5:謝罪を撤回して完全に逆ギレする

時に、ビジネスの謝罪には強攻策が必要

時に、ビジネスの謝罪には強攻策が必要

ビジネスでは時に強攻策も必要これは最後の手段です。この手を使う時は、かなり綿密な計算が必要となってきますし、失敗した場合のリスクは非常に大きいです。

どんな時に使うかというと、「謝罪を続けるとむしろ、自分や自分の仲間が、不利な状況に追い込まれる」という時です。もちろん、最初は謝罪する訳ですが、ちゃんと謝っても状況が好転しない場合には、この最終手段を使うのです。

プライベートでは逆ギレは禁物ですが(笑)、ビジネスにおいては下手に謝罪することで、大きな損失を産んでしまうことがよくあります。時には強い態度で相手の要求をはねつけることも必要なのです。

大事なのは「完全に逆ギレする」ことです。中途半端に非を認めながら「確かにこっちも悪いんですけどね、でも……」と反論をすると、単なる「言い訳」になってしまい、余計に相手を怒らせ、不利な状況に追い込まれることになるので要注意です。
 

実際の私の経験で言えば、例えば昔、あるクライアントから「仕事のクオリティに満足がいかない」というクレームを頂戴したことがありました。実際にクオリティが低かったこともあり、最初は2)の方法で真剣に謝罪し、3)の方法で議論をして原因を究明して対策を取りました。

次に相手は「仕事のクオリティに満足がいかなかったから」という理由で、支払を減額すると言ってきました。しかしそれは「言いがかり」で、最初のクレームを受けてからしっかりと仕事をし、要求通りかそれ以上のアウトプットを納めていたので、「それはちょっと……」という形で、1)のパターンで謝罪しました。

しかし、ここで私がさらに下手(したて)に出たものですから、相手はますます調子に乗ってしまい、「支払はちょっと出来ないねぇ」とまで言い出す始末。

ある程度まで状況を見て、私は一挙に5)のパターンにかえました。「ふざけるのはいい加減にして下さい、放っておけばいい気になって、上場企業の管理職だから信用していたのに、支払をしないとは何事ですか? あなたを信用したのが大きな間違いでした、債務不履行で訴えます」、と。

実際はそこまで思っていた訳ではありませんし、本当にキレている訳でもないのですが、こっちもビジネスでやっていて利害が絡んでいますから、引き下がる訳にはいきません。この状況以外にも、上司やお客様などに、相当強いスタンスでこちらの言い分を主張した経験は多々あります。

人によっては「キレている」と見る人もいますが、決してキレているのではなく、ある程度まで謝罪をしても埒が明かない場合は、次の手段としては強攻策に出る方が効果的なのです。

謝罪のパターン、みなさんは幾つ持っていますか? 自分にないパターンがあれば、ぜひ活用して、お仕事に・プライベートに役立てて下さい!

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