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落下防止エレベータの発明で市場を開拓

エレベーターに挟まれて死亡する事故のニュースは、安全神話に大きな影響を与えた感がある。この安全性を体を張った実演で見事にアピール。今日のエレベータ事業の繁栄を築いた発明家がいた。

執筆者:木村 勝己


エレベーター安全神話の崩壊?

オフィスビルのエレベーターも、安全への前提があって乗れるもの。東京都港区の23階建てマンションで、男子高校生がエレベーターに挟まれて死亡する事故のニュースは、製造・販売元であるシンドラーエレベータ社の対応にも批判が高まり、同社製品の設置をやめたり入札から外したりする動きに広がった。

その後多くの関連事故が報告され、エレベーターの安全神話は崩れてきている。今までエレベーターは安全な乗り物といわれており、地震のとき以外は事故など意識せずに利用できていた。一連の事故により、世界中に多くの不安を与えてしまった責任は大きいと思う。

エレベーターの歴史は古い


エレベーターは紀元前から存在していたそうだ。古代ギリシャにおいて、アルキメデスはロープと滑車で操作する揚重装置を開発した。17世紀には、釣り合い重りを用いたものが発明された。19世紀には水圧を利用したり、蒸気機関を動力として利用したものが現れる。産業革命の効果がどんどん大きくなってきた時期だ。しかしこれらは速度が遅く安全性にも問題があり、この不安のため荷物用以外には中々普及しないでいたのである。このためホテルやマンションの上層階は不人気で料金も安かったという。

このような中生まれた発明(1852年)が、逆転止め歯形による落下防止装置である。発明者は、ニューヨーク市の寝具製造会社で職工長として働いていた、エリシャー・オーティス(Elisha Graves Otis)である。彼は会社の製品を運ぶエレベーターの設計を担当していた。そしてオーティスは1853年に、破産した寝具工場の一部に自分の工場を開設しエレベーターの製造を始める。

次ページでははっとおどろくオーティスのアピール方法をご紹介。
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