ユビキタスの概念
世界が変わる。ユビキタス社会の実現は私たちの生活を大きく変えようとしている。理想的なIT社会の到来が近づいているのである。「ユビキタス(Ubiquitous)」あるいは「ユビキタス・コンピューティング」という概念は、米Xerox社のパロアルト研究所(Palo Alto Research Center)の故マーク・ワイザー(Mark Weiser)博士によって、1988年に唱えられたものである。
Ubiquitousとは、ラテン語の“ubique”=“あらゆるところで”という形容詞を基にした英語であり、(神のごとく)遍在するという意味で使われている。
新しい概念は、いつでもどこでも欲しい情報が手に入る、近未来の情報化社会をイメージしている。ユーザーにとっては、目に見える形でのコンピュータの筐体が存在せず、人間の生活環境の中に、コンピュータチップとネットワークが自然な形で組み込まれ、ユーザーはその場所や存在を意識することなく、自由にアクセスできるコンピューティング環境をイメージしている。
コンピュータの3つの潮流
マーク・ワイザー博士は、このユビキタス・コンピューティングを第3の波と位置付けている。第1の波は、メインフレームの時代であり、多くのユーザーが1台の大型コンピュータにアクセスする形態である。第2の波は、1人のユーザーが1台のPC端末を利用する形態であり現在の環境がこれにあたる。
第3の波では、1人のユーザーの周りを多くのコンピュータが取り囲む形態である。CPUが遍在している状態だ。ユーザーは使いたい時に、自分の情報ネットワークにアクセスできるのである。誰もが、いつでも、どこでも情報にアクセスできる状態が得られるのだ。
これは現在のモバイル環境から次ページのような概念の広がりがある。