ローマは1日にしてならず
▲ファッションリーダーが集うコミュニティサイト「s-comu」 |
「何事も予防線を張っておくことが大切ではないでしょうか。輸入雑貨の件などでいくらか私の名前を社長も知っているという下地があったから企画も通りやすかった」
ローマは1日にしてならず。大掛かりな提案をするにも、そこに至るまでの準備が大切なのです。
本命のインターネットビジネスをやると宣言したものの、一方では冷静な目で市場を分析していました。インターネットがブームとはいえ、当時の普及率は約5%。ビジネスを成立させるのは難しい環境でした。実際、岩本さんが聞いた噂によると、同業が鳴り物入りで立ち上げたECサイトも、実は「開店休業状態」とのこと。
マスコミで盛り上がっているので、提案を通すには絶好のタイミングでしたが、採算面ではまだ時期ではないと判断した岩本さんは、ECサイトを立ち上げるのではなく、「ファッション雑誌」を創刊することにします。意外な展開ですがインターネット通販と最も親和性の高いものがファッション誌であると見抜き、そのファッション誌に掲載された商品をすべて通信販売で買えるようにしました。雑誌販売で安定的な収入を得ながら、通信販売のノウハウを蓄積するのが狙いでした。
そしてインターネット普及率が10%を超えたとき、岩本さんは本格的なEC参入を宣言します。それが現在のスタイライフとなり、アパレルネット通販でトップクラスの売り上げを記録するまで成長したのです。
なかなかうまくいかないとされる企業内起業を成功させた岩本さんからは、組織人としての生き方、タイミングの見極め方など、会社員としてのキャリアに役立つ多くのヒントが学べます。
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