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クビ覚悟の再提案
「会社を辞めてもいい、クビになっていい」
このまま引き下がっていたら、山一時代と同じままにだったろう。石井氏は自分の職をかけての大勝負に出る。プランを練り直し、再び取締役会に提案。今度は見事にゴーサインを勝ち取る。基本的な構想自体は変わらないはずだが、何がソニー役員の心を動かしたのか。
「そのときにあったのは、自分に私心がないという自信ですね。それがなければ、自分の意見に対して本気で確信が持てないと思う」
一度ソニーの取締役会で否決されたとき、以前の石井氏であれば組織内に波風を立てぬよう、おとなしくしているという選択もあったかもしれない。しかし、ここで貫いたのは、1人のビジネスパーソンとしての信念だった。
確かにどんな意見でも通そうとしていたら、物事は何も進まない。妥協してしかるべき場面も当然あるが、一方、自分のポリシーや哲学に照らし合わせて、絶対に妥協してはいけないこともある。