キャリアプラン/キャリアプラン事例

「1円起業」からの上場 比較.com 渡邉氏(3ページ目)

月間130万人に利用される「比較.com」。設立2年7カ月のスピード上場を果たしたが、同社創業者・社長の渡邉哲男氏のキャリアは堅実そのもの。キャリア構築の参考になるヒントが多い。

執筆者:角田 正隆

次のタネをまく

比較コム 渡邉哲男氏
比較.comの出発点は「週末起業」だった

よく「成功と失敗はコインの表と裏」という。

手痛い失敗を経験したITバブル期、渡邉氏は「成功のタネ」をまくことに成功している。現在も趣味だという海外旅行の経験を生かし、航空会社のマイレージサービスの比較サイトを立ち上げた。あくまで趣味的なもので、副業と呼べるほどでもなかったが、忙しい仕事の合い間をぬって運営したサイトが「比較.com」の原型になった。

「hikaku.comというドメインを取得したのもそのとき。今では絶対に入手できないでしょう。当時はドメインの価値すら分かっていなくて、年間1万円ぐらいかかるドメインの維持費用すら高いと思っていたほど。平日の夜や週末に喫茶店にノートパソコンを持ち込み、サイトの更新などの作業をしていました」

「普段は仕事に追われ、せめて休日は休みたい」という多くの人からすれば、本業に加えさらに別のことにチャレンジするのは、なかなか難しいことかもしれない。しかし変化の激しいこの時代、次に何が起きるか分からない。「リスク対応力」を高めるためにも、資格取得、副業、自己啓発など、何か1つぐらい新しいことにチャレンジしておきたい。


小さく生んで、大きく育てる


現物出資を含む資本金250万円で設立された「比較.com」だが、ベンチャーキャピタルの経験を生かせば、もっと多くの資金を集めることができたはず。それでも最初から多額の資金を投入する大勝負を避け、出来ることろから始め、少しずつステップアップした渡邉氏の進め方は、キャリアプランを考える上でも大いに参考になるやり方である。

比較サイトでの起業を決意した渡邉氏は、退職する半年前から準備をスタートしている。サイトリニューアルなど、会社員生活を続けながらできるものを優先。退職1カ月前からは営業活動を始め、月額1万円程度という“お手軽”な広告枠を設定した。

「まあ、いいか」と担当者決裁で出せる金額だったため、初月から早くも約20万円の収入を確保することに成功。創業期の“出血”を最小限に止め、その後徐々に広告単価をアップしていった。


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