失敗から学ぶ
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入社後は先輩社員に付いて、議事録の作成やマーケットリサーチなどの下積みを経験。約1年後の99年前半から、投資先の開拓を手掛けるようになった。
99年といえば「ビットバレー」など、ITベンチャーが注目され始めた時期。渡邉氏がいた会社でも、ITへ積極的に投資するよう指示が出た。渡邉氏が投資先第1号として見つけた会社も、新興IT関連企業の1つだった。
ところが投資先を見つけ、ホッとしたのもつかの間。数カ月で渡邉氏は「これは騙された!」と気づく。雄弁に事業の将来性を語っていた投資先の社長は、出資金が集ったとたん態度を豹変させてしまった。資金を派手なオフィス、社長の無駄遣いに費やし、肝心の本業はほったらかし。その後ITバブルは弾け、投資は失敗に終わる。
記念すべき第1号案件の失敗は、渡邉氏に強烈な自省をもたらした。「ビジネスモデルよりも社長の資質が、企業の成功を大きく左右する」ことを実感。その後は多くの経営者を訪ね、じっくり話を聞くことにした。そのうち会社員志向だった渡邉氏も、経営者たちに触発され、自分でビジネスをやってみようと思うようになった。この失敗は、渡邉氏に「社長という仕事」を真剣に考えさせる大きな転機だった。
ベンチャーキャピタルが行うハイリスク・ハイリターン型投資は、最初からその多くが失敗に終わることが前提になっている。だからといって最初の失敗を「仕方がない」と水に流していたら、渡邉氏の今はなかったはず。誰でも仕事をしていれば、失敗の1つや2つは避けられない。そこで「なぜか?」と反省し、行動を改めることが、次のキャリアにつながってゆく。