キャリアプラン/キャリアプラン事例

日本初の外国人頭取 タッド・バッジ頭取

東京スター銀行タッド・バッジ頭取は、日本初の外国人頭取として東証1部上場を果たした。6人の子供の父親という顔を持つバッジ氏が語る「ワーク・ライフ・バランス」とは?

執筆者:角田 正隆


日本初!40代・外国人頭取の就任

タッド・バッジ頭取
東京スター銀行 タッド・バッジ頭取 1959年カリフォルニア州生まれ。79年大学在学中に宣教師として来日、2年間九州・沖縄で布教活動に従事。84年ブリガム・ヤング大学卒業(専攻は経営学と日本語)。85年ベイン・アンド・カンパニー日本法人入社。2年後、シティバンク東京支店に転職。90年アトランタに異動。95年GEキャピタル(米国)入社。97年同社日本法人コンシューマー部門COO。99年同CEO就任。2002年3月東京スター銀行取締役オペレーション本部長就任。同年6月代表執行役頭取就任。2004年9月、CEOに名称変更。2005年10月同社は東証1部上場を果たす。著書に『やればできる You can do it』(徳間書店)がある。記事『「任せる」と「エンパワー」の違い』 
東京スター銀行のバッジ頭取は、外国人としては日本で初めて国内銀行のトップに立ちました。40代での頭取就任も、国内の銀行では初の快挙です。

東京スター銀行は、経営破たんした東京相和銀行に、アメリカの有名投資ファンドが再建に名乗りを上げ、経営に参画している銀行です。

バッジさんは、ドライなイメージの強い投資ファンドが選んだ経営トップですから、「もしや、ビジネスライクな人物?」という先入観がありました。

ところが、19歳で宣教師として初来日して以来、通算10年以上も日本に住んだ経験があり、学生結婚した奥さんとの間に6人の子供がいるという、公私ともに深みのある人物だったのです。

流暢な日本語を話すバッジさんの取材は、すべて日本語で行いました。

経営者として、破たん銀行の再生と東証1部上場(2005年10月)という大仕事をやってのけ、父親として6人の子供を育て、週末のボランティア活動などで充実した毎日を過ごすバッジさん。

そんな彼に「ワーク・ライフ・バランス(仕事と人生の両立)」の極意を教えていただきました。

人生の基準を持とう

東京スター銀行の店舗風景。カウンターや“番号札”は存在しない。 
バッジさんは、「自分の価値観を明確にすることが、いい人生とキャリアを築く第一歩」だといいます。

バッジ: いい人生を過ごしたいと思っても、まず自分のことが分からなければ前に進めません。自分の価値観を明らかにすることで、人生にとって大切なこと、そうではないことがはっきりします。

人生は仕事だけではありません。自分が世の中に対し、どんなサービス・貢献ができるか、自問自答すべきではないでしょうか。


特技
特技は宣教師時代に覚えた「ジャグリング」。4つのゴルフボールを器用に回す。4つのボールに込めた意味については後編参照。 
日本で宣教師をしていた2年間、バッジさんは自分の将来をじっくり思い描いていました。意外なことに、その将来像の中には「会社のトップ」は含まれておらず、本人も「トップになるとも思わなかった」といいます。

バッジ: 当時は、幸せな人生を過ごしたい、それだけを願っていました。

ただ、私は何か後世に『遺産となるようなもの』を残したいと思っていました。遺産とは、後世の人が私が築いたものを基盤に、さらに良いものを作れるようなものです。

自分が死んだときに、誰もなんとも思わなかったら、悲しいじゃありませんか(笑)。


そうしてバッジさんは20代のうちに、人生のミッション(使命)と価値基準、目標とする人物像を定めました。そして、それらをすべて手帳に書き出し、「人生のガイドブック」としたのです。

>学生結婚。大学卒業までに、2人の子供に恵まれる。

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