キャリアプラン/キャリアプラン事例

日本初の外国人頭取 タッド・バッジ頭取(2ページ目)

東京スター銀行タッド・バッジ頭取は、日本初の外国人頭取として東証1部上場を果たした。6人の子供の父親という顔を持つバッジ氏が語る「ワーク・ライフ・バランス」とは?

執筆者:角田 正隆

20代で学んだワーク・ライフ・バランス

東京スター銀行店内
東京スター銀行店内。オレンジ色でまとめられている。ATMも明るい色の方がいい。 
学生結婚したバッジさんは、大学卒業時には2人の子供に恵まれていました。

しかし就職先は、経営コンサルティング会社の日本法人。もっと日本を知りたいと思っての決断でした。

高給で知られる経営コンサルティング会社とはいえ、MBA(経営学修士)を持たないバッジさんの給料は、決して高くはありませんでした。小田急線沿線で狭い2LDKのアパートに家族4人で暮らし、毎日ラッシュにもまれながら通勤していたのです。

外資系企業の日本法人は、アジア全域の中核拠点として位置付けられることがあります。バッジさんのいた会社も、アジア全域にクライアントが点在し、出張ばかりの生活が余儀なくされました。

特にコンサルタントの仕事は、クライアントから要請があれば、すぐに現地に飛ばねばなりません。時間のコントロールも難しく、家族との時間もまったく取れませんでした。

その後バッジさんは、シティバンク東京支店に転職します。出張は減ったものの、仕事は忙しく、長時間勤務が続きました。
バッジさんの手帳術
現在では紙の手帳とPDAを使い分けている。バッジさんの手帳術については後編参照。
バッジ:当時は、ワーク・ライフ・バランスが、まったく取れてませんでした。ちょうどそのころ、私が通っていた教会で、仕事と人生の両面で、私が理想とする生活を送っている人物と出会いました。

彼にその秘訣は何かと尋ねると、彼は『フランクリン・プランナー』という手帳を使っているからだと言うのです。そこで私もこの手帳を使い始めました。すると何事も計画的に取り組めるようになり、人生のバランスが保てるようになったのです。



NY本社か? 地方拠点か?

その後バッジさんは、アメリカ本国への異動が決まります。赴任先はニューヨークとアトランタから選ぶこととなり、奥さんと現地を下見することにしました。

接客スタイル
東京スター銀行の接客スタイル。「コーチ」が丁寧に資産設計をアドバイスする。
バッジ: ニューヨークは、何事もペースが早く長時間勤務で、通勤時間もかかります。一方、郊外にあるアトランタは、過ごしやすい環境が整っていました。ここならワーク・ライフ・バランスも取れ、同時に現場の仕事という新しい経験もつめます。こうしてアトランタへの異動を決めました。

ニューヨーク本社に行かないという選択は、出世の最短コースを放棄したことを意味します。正直な話、自分のキャリアが犠牲になったと思ったこともあります。

しかし、こうした場面では、自分が求める価値基準に従い、どちらか1つを選ばねばなりません。当時、私には子供が5人いました。子供が過ごしやすい環境で、少年野球チームのコーチなども、一度は経験したかったのです。


>家族を優先したアトランタ勤務。この決断が思いがけない転機を生んだ。

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