キャリアプラン/キャリアプラン事例

苦境を救った「ひとこと」(3ページ目)

人間誰しも壁にブチ当たり、それを乗り越え大きくなる。しかし、壁が大きいほど悩みも深く、絶望感すら感じるときがある。そんな苦境を救うのが、思いがけない恩師や仲間の「ひとこと」だ!

執筆者:角田 正隆

一生安泰の人生への疑問

カー&バイク雑誌『ahead』を手に
近藤さんが日本興業銀行(興銀)に入行したのは1988年、バブル景気が華やかなりし頃だった。人気就職ランキングは銀行が上位を占め、銀行に行くことがごく当たり前の選択として、受け止められていた時代だった。

特に興銀は「銀行の中の銀行」として、鉄鋼・電機・自動車など、日本の主要産業を支えてきた歴史ある銀行。銀行に入っていれば一生安泰というムードの中、銀行員という生き方に疑問を挟む余地はなかった。

「オマエの人生に意味がない」と言わんばかりのカルビンの意見を、その場は認めたくないと思った。「興銀の素晴しさ」などを語り、何とかやり過ごそうとした。


ジワジワと効く

『オンリーワン』
『オンリーワン』沖縄アクターズスクール校長マキノ正幸氏と国際派エコノミスト島田教授の対談「新しいライフスタイルを提言」
その夜アパートに戻り、改めてカルビンの言葉を思い返すと、「痛いところ突かれたな・・・」「その場をやり過ごそうとしたけど本音じゃなった」と反省せざるを得なかった。カルビンの“ひとこと”がボディーブローのように効いてきて、人生の根本が揺さぶられたような感覚を覚えた。

改めて「なぜ銀行に入ったのか」「自分は銀行や金融が好きだったのか」と自問自答すると、何が自分の“夢”なのか分からなくなった。カルビンに答えた『日本の産業高度化』も、会社パンフレットの焼き直しに過ぎなかった。

流されてた人生

友人たちと同じように大学を卒業、同じように就職した。自分が銀行を選択したのも、当時の流行や風評に流されていただけかもしれない。

一方、世界各地から集ってきたクラスメートは、それぞれ「自分の好きなこと」に関連した具体的な夢や目標を持っていた。「僕はこんな飲食チェーンを展開したいんだ。だからマネジメントを学ぶために、ビジネススクールに高いカネを払って勉強しに来た」という仲間に対し、「日本の産業を高度化したい」などと言っているのは自分だけ。しかも留学費用は会社負担―――。


>近藤さんの教訓「異質と向き合え!」
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