柔軟なキャリア・ストーリー
▲会社の意図と本人の意志が、ズレているケースがある |
備海:固執しない程度に意識しておくべきです。夢ばかり描いていても仕方がありません。現実はもっと複雑です。現実に直面しながらストーリーを更新してゆくイメージが適切だと思います。
会社の意図vs個人の意志
―――人事異動ばかりは、本人はどうすることもできませんね。備海:人事異動に限らず、突然、自分が勤務している会社が買収されたり、競合との合併も今後増えてくるでしょう。外資系の場合、日本法人の業績は好調でも、グローバル戦略の変更によって、部門ごと売却される可能性もないとは言えません。
―――会社頼みのキャリアプランは「危険」ということですね。
備海:そうです。ただ会社を上手く利用することはできます。私が知っている例では、ある商社の営業として活躍していた方が、ファイナンス部に回されたことがありました。
本人にしてみれば、第一線からバックオフィスに「引きずり下ろされた」印象があったのですが、会社としては営業から1歩引いたところで、営業全体を見る経験を積ませ「将来の管理職へステップアップ」させる狙いがあったのです。その方はファイナンス部でも成果を残し、後にMBA留学を勝ち取りました。
ただ注意すべきなのは、「会社の意図と本人の意志が、ズレているケースがある」ということ。今回は「変化」について話をしていますが、実は「変化しないリスク」の方が深刻かもしれません。
変化しないリスクとは?
備海:一例を挙げると、経理財務部門にいる方が、将来のゴールをCFO(最高財務責任者)に設定していたとしましょう。本人としては、経理と財務をバランスよく経験したかったのですが、スペシャリスト育成を望む会社側は、彼を経理にそのまま配置し続けようとして、財務への異動を認めませんでした。この場合は転職せざるを得ないでしょう。この続きは、4月14日アップ予定「キャリアリテラシーを身に付けろ!」にて掲載いたします。次回は自らも不動産会社の経理財務部門から、ヘッドハンターへと大幅なキャリアチェンジを経験したヘッドハンター備海宏則氏のキャリアについて聞きます。
今後のアップ予定
・4月7日本稿 [前編]変化対応型キャリア
・4月12日予定 ヘッドハンターのキャリア
・4月14日予定 [後編]キャリアリテラシーを身に付けろ!
▼関連リンク関連リンク
・ヘッドハンターに聞く!備海宏則さん [前編] 売れる人材への「ABC戦略」[All About 『キャリアプランニング』]
・ヘッドハンターに聞く!備海宏則さん [後編] 30代の決断、30代のヤマ場[All About 『キャリアプランニング』]
・転職市場の“盲点”
・キャリアの年末「総」棚卸し
・CFOへの最短コース[日経Bizキャリア]
・若手ビジネスパーソンへのアドバイス[日経Bizキャリア]