キャリアプラン/自己分析の方法

ビジョンと戦略の描き方

在りたい未来の姿を具体的に描く前提として、自己のバリュー(価値観や理念、行動規範や自分の軸)を棚卸しし、現在の自分の“強みと弱み”を客観化する手順を示しました。いよいよ、今回は「ビジョンと戦略の描き方」です。

藤田 聰

執筆者:藤田 聰

キャリアプラン・リーダーシップガイド

ビジョンと戦略の策定をしてみよう

今回はシリーズの結びとして、「ビジョンと戦略の策定の仕方」について、記述したいと思います。前々号「自分の夢を実現するバリューを作るには」と前号「アセスメント(自己分析)の効果的な使い方」を読んでいただくと、理解が一層深まると思います。ご一読下さい。

在りたい未来の姿を具体的に描く前提として、自己のバリュー(価値観や理念、行動規範や自分の軸)を棚卸しし、現在の自分の”強みと弱み”を客観化する手順を示しました。いよいよ、ビジョンと戦略の策定です。

1.ビジョンとは何か

手帳はビジョンや戦略を練る最も身近なツールです
「ビジョン」と言う言葉を皆さんはどのように捉えますか?方向性とか、夢やロマンとか、伺ってみると様々です。明確な定義はないのですが、「在りたい姿を具体的にイメージすること」と考えて下さい。

では、どのくらい先に照準をあてればいいかですが、ドックイヤー、マウスイヤーと言われる今日、30年、50年先を読むことは現実的に不可能です。中長期の未来として、10年後までが妥当でしょう。

今、入社3年目の25歳の方であれば、35歳になったときの在りたい姿、成功イメージを持つことになります。どうやってイメージを持つかというと、皆さんの近くにお手本があるはずです。

職場の10年先輩で一番輝いている方を探して下さい。その方がモデルとなるはずです。その方が直属の上司であれば本当にラッキーです。盗めるところはどんどん盗んで下さい。しかし、ほとんどの方は中々そのような魅力的な方に出会うことがありません。

遠くから、あなたのモデルとなる方を観察して、現在の役職や仕事内容からおおよその年収を推論してみましょう。その他、ご自宅の場所は、間取りは、車は、ご家族は、ご趣味は、などなど、具体的なイメージを持つことが重要です。

また、その方はどんなスキル(能力)を持っていて、どんなパーソナリティー(性格)であるかも確認する必要があります。特に、性格部分はなかなか変えられないので、自分と同じタイプの理想の上司を選択する方がモデルとしては宜しいでしょう。魅力的な方は必ず何らかの卓越したスキルを持っています。

2.ビジョンとゴールの違い

ビジョンをイメージしていく際、心掛けるポイントは具体性です。抽象的なものでは時間の無駄遣いとなります。何故なら、次の戦略を描くことが出来ないからです。戦略が描けなければ、ビジョンを実現することは出来ません。

では、皆さんはビジョンとゴールの違いは何かわかりますか?少し考えてみて下さい。ゴールは「目標」です。つまり、ビジョンに数字を加えたものがゴールです。

ゴール(目標)=ビジョン(在りたい姿)+数字

ビジョンに数字を付け加えたものがゴールです。ビジョンは定性的なもの、ゴールは定量的なものです。日産自動車のゴーンCEOは90年代後半経営のプロとして舵取りを任されたのですが、定量的な目標設定をすることが戦略、アクションプランに繋がると考え、企業文化を変革しました。

彼は企業再生計画を策定し、目標に辿り着くための道筋と期限を考え、社員一同、愚直に行動し続けた結果、今のような形に再生したのです。

つまり、皆さんもビジョンをイメージする際、定性的にではなく、定量的にイメージしていくことが求められるのです。視覚的で明確なイメージであればあるほど、実現の可能性が高くなると考えましょう。

サッカーの試合をイメージしてみましょう。ゴールに向かい、ピッチ上の選手が敵の陣形を見ながら、有機的に移動し、パスを廻しながら、敵の陣形を崩し、何とかスペースをこじ開けて、シュートをし、ゴールキーパーがいないスペースに叩きこめば得点となるわけです。

次のページでは、戦略についてご説明したいと思います。
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