大田区区議会の田中健議員(27)は、25歳で区議会議員に立候補した。2003年4月の選挙で見事当選、都内最年少区議会議員(当時)に就任する。
▲大田区区議会議員 田中健氏(27) プロフィール |
・出馬の決断
・たった1人の選挙活動
・無謀な選挙の意義
・地方自治が面白い
・なぜ大田区で出馬したか?
“3バン”は議員の条件ではない
選挙に当選するには「地盤(後援組織)」「看板(知名度)」「カバン(資金力)」の“3バン”が必須条件だと言われている。しかし、田中さんは静岡県出身、大田区生まれではない。もちろん25歳の元・銀行員に、知名度などあるはずもなく、銀行の退職金は数万円だった。定説からすれば、常識はずれの当選と言える。
今回のテーマ「国政を目指す」という夢が“現在進行中”の彼に、1人のサラリーマンが、区議会議員に当選するまでのストーリーを語ってもらった。
2人の師匠
田中さんが、政治の道を志す「きっかけ」を作ったのは、2人の師匠だ。1人は大学時代の恩師、小沢一彦先生(現桜美林大学助教授・松下政経塾政経研究所所長)。もう1人は、衆議院の松原仁議員だ。田中さんが、最初に政治と出会ったのは大学生時代。受講した政治学の講師だった小沢先生に惹かれ、学生として最前列で受講していた。
その熱意を認めた小沢先生は、田中さんに「本物の政治の世界を見てみないか」と声をかけた。そして、先生の友人で衆議院議員に立候補中だった松原氏を紹介する。
田中さんは、ボランティアとして松原氏の選挙活動を手伝い、当選後もインターン生として、衆議院議員が活躍する姿を間近で見た。そして、日本に貢献する政治家という仕事に、憧れを抱くようになる。
一度は銀行に就職
▲応援に駆けつけた鳩山由紀夫氏 |
「(政治家の)2世でもない自分が、大学を卒業してそのまま政治の道に踏み出すのは、当時は非現実的な決断だと思ったんです。でも、決して夢を諦めたわけではありません。銀行員になっても、社会に貢献したい思いは変わりませんでした」