サラリーマン時代

議会で活躍する田中氏
都市銀行に入行した田中さんは、休日はNPO団体設立の支援や、自主的な勉強会を開催するなど、社会との接点を持つよう心がけた。それが「やりたいこと」だったので、休日をつぶしている意識は全くなかった。

しかし、勉強会で社会問題を論じても、直接社会に働き掛けることができない歯がゆさが、日増しに高まってゆく。

「勉強会の議論は、評論家のように、目の前にある“ゴミ”をどうするか、抽象的な議論を繰り返すだけです。結局、議論だけしても、具体的な問題解決には繋がらないのです。一方、議員は、その“ゴミ”をすぐ拾って解決するのが仕事。その差は歴然としていました」

議員という立場から、率先して自分が社会を変える仕事がしたい、政治家を夢見ていた情熱が再び湧き上がってきた。

田中さんのサラリーマン時代についてはこちらをご参照ください。

【統一地方選挙】地方公共団体の議員、自治体の首長の選挙を、全国的に期日を統一して行うこと。有権者の意識を高め、選挙事務費用を節減するために、1947年から4年ごとに実施されている。
【被選挙権】選挙に立候補できる資格。日本では、衆議院議員、地方議会議員、市町村長は満25歳以上、参議院議員・都道府県知事は満30歳以上の者に与えられる。公職選挙法で定められている。

出馬の決断

恩師の小沢一彦先生
恩師小沢一彦先生と
そのとき、翌年に統一地方選挙が控えていた。被選挙権を得た25歳の今、このチャンスを逃せば、次に立候補できるのは29歳だ。今、出馬すべきか、次の機会を待つか。悩んだ田中さんは、恩師、小沢先生に相談に行った。

小沢先生のアドバイスは明確だった。

「今、何を1番やりたいか考えろ―――」

そして、先生はかつての教え子の話をしてくれた。彼は明確な目標を持ち、それに燃えていたが、若くして病に倒れ、夢半ばでこの世を去ったのだという。彼は先生に宛てた手紙に「まだ死にたくない」と書き残した。その手紙を読ませてもらって、田中さんの決意は固まった。

「思い立ったが吉日。今、行動するしかない」

早速、彼は銀行に辞表を提出、会社の寮を出て、自宅兼のアパートを拠点に、たった1人で選挙活動を始めた。

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