「更新料を返せ」と裁判長は言った

多くの人が住む賃貸住宅(写真はイメージです)
「約束を守るという当たり前のことが通用しない世の中は正義ではない」と、厳しい表情で弁護士が締めくくりました。いわゆる「更新料裁判・大阪高裁判決」(平成21年8月27日)の貸主側弁護団で代表を務められた田中伸弁護士が、わざわざ東京の貸主側団体へ報告に来てくださった際の、講演での言葉です。

私も、約束を反故にすることを認めるこの判決は、正義に反すると考えます。

さて今回は、衝撃的な判断が下された「更新料裁判」の行方についてお話しします。

いま、全国の大家さんを心配させているこの裁判、貸主側が上告し、更新料の是非は最高裁で争われることとなりました。最終的な判決は、さらに年を越し、来年(平成23年)になる可能性もありますが、私は最高裁では正しい判断が示されるはずだと、固く信じています。

なぜなら、貸主・借主が互いに納得し、正当な手続きと合意をもって契約した更新料の授受について、後追いで否定されるようなことがあってはならないのです。「約束を守るという当たり前のことを司法が否定する」、もしもそんなことが現実となるならば、それは近代の契約社会のあり方そのものを否定する暴挙となります。

大阪高裁判決のあらまし

ここで、この裁判のあらましを簡単におさらいしておきましょう。契約の概要は下記の通りです。
  • 物件所在地:京都市左京区
  • 賃貸借期間:1年
  • 賃   料:4万5千円(礼金6万円、敷金10万円)
  • 更 新 料:1年ごとに10万円
  • 契約始期:平成12年8月
  • 更新の条件:平成13年~17年まで毎年、その都度、更新料10万円
ところが、平成18年のこと。賃借人は突然、「支払済みの更新料5回分50万円の返還」などを求め、提訴したのです。これに対して、昨年8月の大阪高裁判決は、「更新料特約は消費者契約法第10条 に定めるところにより無効。同法施行の平成13年4月1日以降の契約にともなって授受された更新料4回分40万円を返還するよう」、貸主に命じたのでした。

消費者契約法第10条は、「消費者の利益を一方的に害する契約条項は無効である(意訳抜粋)」旨、規定しています。更新料の授受は、消費者の利益を一方的に害する、無効にすべき約束事にあたる、とされたのでした。

この判決に約ひと月先立って(7月23日)、京都地裁においても同じく消費者契約法第10条の規定に該当するとして、「更新料特約無効」の判決が示されていました。マスメディアが大きく注目する中での出来事だったのです。

次は「地域の問題」では済まされないをご紹介します。