2019年の公示地価は「まだら」上昇

公示地価は、一般の土地の取引価格を決める際などに重要な指標となるもので、国土交通省が毎年1月1日時点の調査を行い3月に公表しています。

全国では、全用途の平均1.2%の上昇。住宅地は0.6%上昇となり2年連続、商業地は2.8%上昇し、4年連続の値上がりとなっています。次に、三大都市圏は、住宅地・商業地いずれも各圏域で上昇が継続し、上昇基調を強めています。

地方の住宅地は平成4年以来、実に27年ぶりに上昇に転じ、地価の上昇が地方にも広がっていることがうかがえます。また、商業地は2年連続での上昇でした。なお、最高地は、東京・銀座にある「山野楽器銀座本店」で、1㎡あたり5,720万円となりました。

アベノミクス以降、地価は回復基調となっていますが、全国的に地価のまだら上昇となっております。
 
全国では、全用途の平均が1.2%の上昇

圏域別・用途別対前年平均変動率


上昇の背景として、住宅地については、低金利と住宅ローン減税などの施策効果により、交通の便や住環境の優れた地域を中心に、需要が堅調となっています。
商業地については、景気回復や良好な資金調達環境の下、(1)主要都市でのオフィス空室率の低下、賃料上昇による収益性の向上、(2)インバウンド増加による店舗、ホテルの旺盛な進出意欲、(3)インフラ整備や再開発の進展による利便性向上などを背景に需要が拡大したことが要因です。

  

地価上昇が鮮明に表わす「地価の二極化」

昨年の地価公示では、地方圏の平均が26年ぶりに下落を脱して横ばいでしたが、今回ついに上昇に転じました。

ただし、すべての地域が上昇しているわけではなく、二極化が鮮明になっています。バブル時の地価上昇と比較しても、バブル時は商業地・住宅地・リゾートも含めて根拠なく全国的に地価上昇が広がっていた状況に対して、今回は、上昇・停滞・下落のポイントが地域性や利便性、集客力など、多面的な要素によって明確になってきています。

全国で上昇率が最も高かったのは、スキーリゾートとして人気となった北海道のニセコ地区で、商業地は58.8%も上昇しています。背景として、インバウンド増加による、店舗需要の高まりが考えられます。

しかし、地域環境の変化や、需給関係の改善により地価が上昇に転じている地点がある一方で、同じ北海道内であっても、利便性が悪く人口減少が止まらない地域では、7%以上下落している地域もあります。地価の二極化が鮮明に表れており、新聞に踊る27年ぶりの上昇のニュースも、現実には手放しには喜べない状況です。

 

地価の上昇から見る「賃貸住宅市場」と「不動産の売却」

地価の上昇は、すなわち不動産の需要が高まったことになります。この状況は、土地活用などの不動産投資ブームとも合致しており、新しく高品質な賃貸物件が次々と市場に供給されてきているということを意味します。既存のオーナーさんには、入居者獲得の為の更なる対策が求められるでしょう。

また、リノベーション・大規模修繕を予定されている方や、土地活用を考えている方は、詳細なマーケティングが必須です。どのような入居者をターゲットとするか、どのようなコンセプトでリノベーションをするのか、どのような方針で管理していくかについては、今後の経営の行方に大きな影響を与えることになるからです。

反面、オーナーさんにとって、地価の上昇は資産価値の上昇にもつながります。所有不動産を売却した際には大きな恩恵を受けられることになりますので、今後、更に激化する入居者獲得の争いを避け、地価が上昇しているタイミングで不動産を売却するのも一つの選択肢となるでしょう。

下がってきてから売るより、人気のあるうちに売ったほうが引き合いが強いという法則があります。この法則は、お見合いや就職などでも同様に当てはまります。旬を逃さないことが肝要ということです。

決して売却を推奨するわけではありませんが、ある意味、「売りたくない」「売るのはちょっともったいない」ときが、実は売り時なのです。

 

オーナーさんが知っておくべき「公示地価の注意点」

注意事項として、公示地価と実勢価格は一致していないということが挙げられます。公示地価は遅行指数であり、委託を受けた多数の不動産鑑定士が直近の路線価の動きなども考慮し、ある程度の塩梅も考えて評価している為、実勢価格よりも動きが遅くなります。

その他、公示地価はスポットの画地を評価しているという点にも注意が必要です。実際、土地は下記の図ように形状も様々で、それにより単価は大きく変わってきます。近くの公示地価が幾らだったから、自分の土地も同程度の単価だろうと考えるのは早計です。
 
土地の形状により土地の単価は大きく変わってきます

様々な土地の形状。形状によって単価は変わってくる


上昇基調にある地価ですが、世界経済、米中の貿易摩擦の動向、EUでのイギリスの離脱の行方、ASEANの景気など、現在の不透明な世界の情勢が、今後、日本経済および不動産市場に大きな影響を及ぼすことになるでしょう。激動の賃貸住宅市場を生き抜くため、オーナーさんには、不動産市場の動向を見据えた柔軟な対応が求められます。

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