狙われやすい家には共通事項が 防犯対策は?
同じような門構えなのに、泥棒に入られる家と入られない家があります。しかも、一回だけでなく、繰り返し狙われてしまう家もあります。 泥棒に狙われやすい家にはある共通事項があります。その共通事項を押さえ、被害にあう前に危険箇所をチェックして、その部分を特に重点的に対策をすることで、住まいの防犯性を高めることができます。<目次>
下見がしやすい敷地形状の例・道路に直接面している家など
まずは、あなたの家の敷地が前面道路に対してどのような接し方をしているか、道路と敷地の関係を見てみましょう。戸建て住宅の場合、道路と敷地の関係はだいたい次の3つのパターンに分類されます【図1】。 泥棒は、その約半数が侵入する家の下見をしているといわれます。【図1】のA・B・Cの敷地形状を下見のしやすさという視点で見てみましょう。■A:前面道路型
前面道路に敷地の一辺が接している「前面道路型」は、敷地が道路に接する部分が長く、家も道路に直接面していることから、泥棒が家の下見をしやすい形と言えます。■B:路地型
路地(通路)の部分だけで前面道路に接していて、その奥に敷地がある「路地型」の形状では、泥棒が道路からの家の様子を伺うことが難しく、下見がしにくいことがわかります。しかし、いったん敷地に入り込んでしまえば外部からの視線がなくなってしまう(=犯行を行いやすい)という危険性があります。■C:角地型
敷地の2辺が道路に接している「角地型」では、2方向から家の様子を見れるため、泥棒にとっては下見がしやすい(=狙われやすい)形状であると考えて良いでしょう。下見でチェックしていることは?
皆さんの家はどれが当てはまりましたか?泥棒は下見することで、あなたの家が、いつの時間帯が留守がちなのか、侵入するのに都合の良い窓や扉があるか、カギはどこについているのかなど狙いやすいポイントを伺っているのです。新聞受けに数日分の新聞がたまった家は旅行中(=留守)であることが推測でき、家の周囲にいたずら書きやゴミが放置された家、庭の手入れがされず草木ばぼうぼうに生えている家は、家の管理に無頓着であることなどがわかります。その他にも犬を飼っているのか、2階に上れる足がかりがあるかどうかなど、いろんなところをチェックしています。
こんな位置にある窓や扉が危ない!
それでは上記で分類した、下見がしやすい【図1】A:前面道路型の住まいを例にとり、どの位置にある窓が泥棒に狙われやすいか考えてみましょう。 泥棒は人目をたいへん気にするため、前面道路から見えにくい位置にある窓を狙います【図2】。1)道路から見えない、道路と反対側にある開口部
2)道路からみて奥の方にある開口部
また、2階でも、バルコニーや雨樋など足がかりがあるとよじ登れるため、道路から見えにくい部分にある開口部は同じ様に狙われやすくなります。
狙われやすい住宅の防犯対策
【図2】で示した狙われやすい場所の対策としては、敷地奥の見通しの悪いところの手前でフェンスなどで立ち入りを制限する、道路から敷地の奥まで見通せるようにする、狙われやすいとされる開口部そのものを防犯性の高いものに交換する、などがあります【図3】。狙われやすい・泥棒に入られる不安がある家の例
ある泥棒被害にあった家は「前面道路型」で、侵入された開口部は道路に近い位置にある掃き出し窓でした。一般的には人目が気になる位置にある窓ですが、敷地と道路には高低差があり、窓は道路を通行する人の視線より上部にあり、見通しが良いとは言えない位置にありました。 もうひとつ、数年のうちに2回も泥棒に入られた家は「角地型」でした。前面道路は車や人もたくさん通り、人目はあるものの、2方向の道路側には高い塀とうっそうと茂った庭木があり、敷地内が全く見通せない状況でした。いったん庭に入ってしまえば泥棒が隠れる場があり、かつ2方向に逃げられるため「狙われやすい」条件が揃ってしまっているのです。 このように、道路沿いで人目があるにも関わらず、敷地の高低差によって死角になる部分がある家、堀や庭木で庭の見通しが悪い家も、泥棒に狙われやすくなります。ドロボウに嫌われる家づくり
泥棒に狙われにくい家づくりを行うコツをご紹介しましょう。まずは泥棒が下見に来た時に「この家はやめておこう」と思わせること。繰り返しになりますが、庭木の手入れをし、見通しをよくすることで敷地内に泥棒が隠れる場所を作らないことです。そしてガレージや門扉付近のゴミや落書きを放置せず、整理整頓を心がけるようにしましょう。 手入れが行き届いている家や街並みは、泥棒に心理的な影響を与えます。下見時に「この家はやめておこう」と思わせる確率を高くするのです。
窓辺に小物を飾る
次に、簡単な防犯対策として、狙われやすい窓の付近に小物を飾る方法があります。 窓の近くに何か置いてあると、そこから侵入したときに、倒れる・壊れるなどで音が出る可能性があります。泥棒は侵入するときに「音」がすることをたいへん嫌がります。窓辺の小物は住んでいる人の目を楽しませるだけでなく、泥棒よけにもなるのです。防犯性の高い窓・扉・シャッター・面格子を検討
それでは次に本格的な対策をご紹介しましょう。泥棒に狙われやすい窓やドアに、泥棒がこじ開けにくい、防犯性の高い部品を使うのです。窓やドアを破壊して侵入しようとしている泥棒は、時間がかかることを嫌がります。5分以上かかっても破壊できないと泥棒の約7割が、10分以上で約9割が諦めるというデータがあります。この「5分」に注目し、泥棒が実際に侵入の際に使用するバールなどを使って破壊活動をしても「5分」以上壊れないことが実験で立証された部品にはCPマークをつけることが認められています。狙われやすい位置にある開口部には、この「CPマーク」がついた窓、扉、シャッター、面格子の採用を検討しましょう。
CPマークとCP製品の例。5分以上の破壊活動に耐えうる防犯性能が高いと認められた建築部品にはCPマークがついている。
防犯性が高いCP製品の導入状況
こうした一定以上の防犯性能が認められた防犯建築部品の認定は平成16年から始まり、防犯性を重視している住宅メーカーや一部のマンションでは導入が進んでいます。CP製品は一般部品より価格が高めになるため、予算に応じて狙われやすい部分はCP製品、その他の部分は通常品と使い分ける方法もあります。既存住宅での防犯対策
既存住宅の場合には、サッシ自体の入れ替えはなかなか難しいものですが、後付けできる面格子、シャッターなどの追加を検討すると良いでしょう。あとからそれらを追加する場合、簡単に取り外せないもの、こじ開けにくいものを選びましょう。新築と同じく、前ページでご紹介した破壊に強い「CPマーク」がついたものがおススメです。ドロボウが一番嫌がることは?
ところで泥棒が一番嫌がることをご存じですか? 実は「顔を見られること」がとてもイヤなのです。侵入する家を下見する際、近所の人に声をかけられたり顔を見られたりした場合、約63%があきらめたというデータがあります。先ほど述べたように、侵入に時間がかかると諦めるということも「見られるのを恐れて」なのです。 家のまわりで怪しい人を見かけたら積極的に声をかけたり、ご近所どうしで見回りをすると防犯効果が期待できます。ソフトとハードの対策でより防犯性が高まる
長期留守にすることが多い方、夜中の防犯が気になる方は、ぜひ窓格子やシャッターの取り付けを検討してください。最近ではホームセンターなどでも工事をしてくれるところがあります。声かけによるソフト面の対策と、開口部の強化といったハード面の対策をとることで、泥棒に狙われにくい、より一層安心して暮らすことのできる家になります。【関連記事】
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