誰もが安くて納得する家をつくりたい

昨年の新築住宅着工数は80万戸割れで、工務店やハウスメーカーにとっては厳しい年となりました。今まで100万戸はあったので、単純にいえば5社のうち1社は新築市場から撤退したことになります。
したがって建て主にとっては、安くて納得した家づくりをするには良い時期だといえます。しかしながら恐いのは、安かろう悪かろうの家にならないかということです。果たして完成したときに、これが自分の家なのかと感動した家づくりになっているのかどうかが不安になります。誰もが願うことは、コストバランスがよく満足のいく家づくりです。
 
安かろう悪かろうの家

安かろう悪かろうの家断熱材の入っていない家などは、たった26年で壊されていきます。

   

出精値引きとは、企業努力による質を下げない値引き

建築工事費を大きく左右する要素に、建材や設備機器の他に、労働費があります。値引きをするには、建材等をいかに安く仕入れるか、労働費の賃金を抑えるか、もしくは会社の経費などを抑えるかです。

上記のような単に材料の質を下げるのではなく、あくまでも企業努力で行う値引きを、「出精(しゅっせい)値引き」といいます。質を下げる値引きは、出精値引きとは言えません。

このように、値引き方法にもさまざまあります。その手法とは・・・
 

出精値引きとVE提案の違いを知る ~出精値引きとは~

キャンペーン中の価格を下げる手法は論外として、出精値引きとVE提案について考えてみましょう。一般に出精値引きというものは、会社の努力でサービスできるというものです。それは製品の掛け率や職人の手間、仮設部材のリースなど、あらゆる工事項目の無駄を省いてサービスするのです。したがって、工事の規模にもよりますが、ほとんどが100万円以下の値引きです。
しかし会社によってはただ単にこの仕事は必ずとりたいという意思の表れで、ドーンと大きな金額を下げる場合があります。その下げた金額の裏付けはあまりなく、とにかく仕事をとれた後に考えようということなのです。しかしこの値引きは、最終的にはどこかにしわ寄せがきます。例えば賃金の安い職人さんを使ったり、下地を2回ペーパー掛けするところを1回で仕上げる、設備機器の品質を落とすといった具合です。

このように値引きは本当にサービスをするものと、そうではない質を下げるだけのものがあるということを認識しておくことです。
 

出精値引きとVE提案の違いを知る ~VE提案とは~

一方、VE提案とは、Value Engineeringの略で、一言でいえば、コストと機能の両面から考え、さらに満足をさせ、価値も失うことなく評価されるということです。したがってアイデアや創意工夫がとても重要になるのです。一般にいうローコスト住宅は、安かろう悪かろうになりがちで、コストと機能がバラバラに評価されるため、家そのものの価値を失うことが多い気がします。VE提案の考え方には、V=F/Cという基本式があり、V=価値(Value)、F=機能(Function)、C=コスト(Cost)を意味しています。つまり機能とコストの両面から対象の価値が評価されることを示しているのです。
 

出精値引きとVE提案をポイントに打ち合わせを

住まいは単に高級感あふれる高級素材を使ってつくればよいかといったら、そういうわけでもありません。第一に、支払ったお金に見合うもしくはそれ以上の性能やデザインが確保されていることが重要です。それが価値といえます。しかし建物は、「安かろう悪かろう」、「高かろう良かろう」といった具合にイメージで建物を捉え、何となく今までは肌感覚の坪単価でつくられた気がします。

これからは、機能や物の納まりの工夫などと合わせた「VE提案」が施工会社を決めるポイントの1つであることは間違いありません。もちろん、建築家にお願いするにしても、コストを無視したデザインオンリーでは当然予算はオーバーしてしまいます。VE提案の視点を持ちながら、コストコントロールを考え、打合せをしていくことが大切なのです。


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