床と壁に接する幅木(「はばき」と読みます。巾木と書くこともあります)。最近では部屋をすっきり見せるデザインや接合部をきれいに見せたりするデザインが流行っているため、幅木についても必要なのかという疑問は増えています。本当に幅木をなくしてもかまわないのでしょうか。

建築家である私のもとに実際に寄せられた質問を例に、Q&A形式で、幅木 について詳しく解説します。

Q.幅木って必要ですか?

建築コストを下げたいので床と壁に接する幅木をなくしたいと考えています。なくすことでどんな問題がおきますか?(埼玉県30代女性)
幅木を設ける理由とは?

幅木を設ける理由とは?



A:幅木には様々なメリットがあります

床と壁をつくる際、施工上、隙間が出来るのでそれを隠すために幅木を設けますが、隙間が出来ることで床と壁が多少動いたとしても力を逃してくれる役割もあります。「すっきり見せたいので幅木を無くしたい」ということですが、幅木がないと隙間から冷暖房の熱が逃げたり、あるいはゴミが壁の中に入っていく原因にもなります。掃除機などが当たった際に、壁を保護してくれるという役割もあります。

もしも部屋をどうしてもすっきり見せたいのであれば幅木の色を壁と同じ色にする、幅木の高さを4~5センチ程度におさえることでも随分と見え方は違ってきます。

また、幅木は壁と床との緩衝材という役割を持っています。代表的なものとして「出幅木」と「入り幅木」があります。
出幅木

出幅木

入り幅木

入り幅木


床面をすっきり見せたいのなら「入り幅木」にすることも出来ます。ただし床と壁の隙間部分は弱くなってしまうので注意は必要です。

建築では「縁を切る」考え方がとても大切

幅木だけでなく、建築において、仕上げ材が異なる部分に接するところには、接合部をきれいに見せるため「見切り縁」(みきりぶち)を設けています。つまり「縁を切る」という考え方です。

たとえば床と排水管の縁が切られていないと、排水時の振動が床に伝わってしまいます。また、タイルについても目地(めじ・継ぎ目のこと)を切ることでタイル裏面への水の侵入を防ぎ、さらには目地を設けることで焼き物タイルの微妙な寸法の誤差を調整してくれるのです。

カーポートなどのコンクリートにも目地を入れます。これは温度差や湿度の変化によってコンクリートにひび割れ等が発生する場合があるためで、目地で縁を切ってひび割れを拡大させないように防止する役割を担っています。つまり振動や音、熱などが伝わるのを防止する役割をするのです。

「家族の縁を切る」となればこれは大事になりますが、建築では「縁を切る」という考え方がとても大切であり、住まいの性能を向上させるもっとも重要なポイントなのです。

幅木を設けておいた方がメンテナンスも手間もかからない

幅木を設けておいた方がメンテナンスも手間もかからない


こうした理由もあり、幅木を設けない時は壁の下地に補強材を入れますが、それでも床と壁の継ぎ目は幅木を設けた場合に比べて強くなりません。

掃除機をかける時も注意が必要ですし、フローリングにワックスをかける際に幅木がないと、そのワックスを壁紙が吸い込んで長い間のうちに下部がシミになることも考えられます。

また、仮にコストを下げたいという理由で幅木を入れるのをやめても、延床面積約40坪の住まいでは、15~20万円位しか減額になりません。

むしろコストよりもすっきり見せたいとインテリアにこだわるなら、そのこだわるスペースのみ幅木をなくすことです。他のスペースはできるだけ幅木を設けておいた方がメンテナンスも手間もかからないということです。

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