RC造(鉄筋コンクリート造)とは

住まいには様々な素材が使われていますが、構造体として利用されているものは木材、鉄、コンクリートに大きく大別されます。今回はこの中から、コンクリート、とくに鉄筋コンクリート造(RC造)に焦点を当てて、その特徴などについて紹介します。マンションなど集合住宅が主流で、戸建て住宅は主流でないように思われるかもしれませんが、戸建てにも根強いニーズがあります。先日、そのプレハブ版であるプレキャストコンクリート(PC工法)の住宅の部材生産工場を取材する機会がありましたので、その様子も交えお伝えします。

まず、コンクリート系の建物について確認しておきます。以下の二つに分類されます。

・RC造=Reinforced-Concrete
コンクリートの中に鉄筋を配した素材を使い建てられた建物。中高層までの建物に採用されることが多くなっています。

・SRC造=Steel Reinforced-Concrete
鉄骨造(S造、中でも重量鉄骨)とRC造を組み合わせたもの。高層ビル・マンションなどに採用されています。

次に、コンクリートという素材について確認しておきましょう。新しい素材と思われがちですが、その歴史は古く、例えばイタリア・ローマにあるコロッセオ(西暦80年に完成)などの事例があり、それらは鉄筋を使用していないコンクリート造です。

コンクリートは圧縮力に強い反面、張引力には弱い素材。この性質を補うため、その逆の性質を持ち、破断しにくい鉄筋を芯材としたのが鉄筋コンクリートです。錆びやすい鉄筋をアルカリ性のコンクリートが保護しているため、耐久性が高くなるのも特徴です。
RC

RC住宅の事例。コンクリート打ちっ放しの外壁などに魅力を感じる層が根強く存在するのがこの構造の住まいの特徴である(クリックすると拡大します)


鉄筋コンクリートについては19世紀にフランスで実用化されたそうですが、その後、世界中で様々な用途に活用されるようになったのはご存じの通り、日本でも建築・土木分野で数多く使用されています。

その製造方法は、基本的にセメントと水を混ぜ合わせたものを型枠に流し込むというものです。鉄筋など骨材を入れること以外は、製造方法はローマ帝国時代から大きく変わっていないといわれています。

コンクリートの製造方法などに技術革新も

ただ、いくつかの技術革新があります。セメントと水、鉄筋のほかに、混合剤を入れることです。混合剤は、コンクリート強度を高める化学物質で、これにより生み出される高強度コンクリートは超高層マンションなどに使用されています。

もう一つの技術革新は、工場で製造するプレキャストコンクリートの登場です。工場で生産するため、品質や精度が安定する上、省力化や現場施工の短縮、さらに環境保全の面で優れているといいます。
耐火

RC住宅で発生した火災の様子。この住宅はその後、補修が施され今も住み継がれている。その耐火性能の高さを良く表しているといえそうだ(クリックすると拡大します)


このほかに軽量コンクリートなどがあります。ALCなどが代表例。ALCは気泡を持つ内部構造となっているもので、住宅の外壁材や床材などとして、戸建て住宅を含む建物への数多くの活用実績があります。

RC住宅の特徴は基本性能とデザイン性の高さ

では、以下でRC住宅の特徴について紹介します。大きく以下の二つにまとめられます。

・基本性能が高い
・デザイン性に優れる


基本性能とは耐震や耐久、耐火、劣化、遮音、断熱などです。特に耐震性能については、高層マンションやビルなどにも使われているわけですから、低層の戸建て住宅(一般的に4階建てくらいまで)における信頼性は非常に高いと判断できそうです。

耐火性能については、コンクリートは元々燃えにくい素材であることを皆さんもご存じだと思います。高温になっても変形しにくいことも特徴ですから、仮に火災が発生しても復旧しやすく、元通りの暮らしを取り戻しやすいわけです。

劣化については、前述したようにローマ帝国時代の遺跡など、古い時代の建造物が現代まで受け継がれていることからご理解いただけると思います。もちろん、適切なコンクリートの生成の手法と、その後のメンテナンスがあってこそですが。
曲面

曲面外壁を採り入れたRC住宅の事例。周囲にはあまりない個性的な外観づくりができるのもRC住宅の特徴の一つだ(クリックすると拡大します)


次にデザイン性に優れるという点についてですが、RC住宅は型枠にセメントなどの素材を流し込むことで壁や柱、床、天井などを形づくることで建設されます。現在、住宅の基礎にはコンクリートが使われるのが主ですが、その施工の様子をイメージするとわかりやすいでしょう。

要は型枠の形状次第で様々な形に成型できるわけで、曲線や斜線がある意匠をつくりやすいわけです。ですので、低層住宅でもある程度、人目につくことが求められる商業施設や医院などを併設する建物で、これまでRC住宅は数多く建設されてきました。

曲線を建物に採り入れることは、一般的な木造住宅や鉄骨系住宅では高度な技術と大変な手間が求められます。そのことは、皆さんの回りにある住宅が基本的に直線で構成されているのを見てみると一目瞭然です。つまり、RC住宅はより個性的な住まいを望む方にフィットする可能性が高いわけです。

RC住宅のプレハブ版 PC工法の工場の様子とは

さて、ここからは私が先日取材してきたプレキャストコンクリートの生産工場についてご紹介します。具体的にはトヨタT&S建設という会社の栃木工場(栃木県大田原市)です。同社はトヨタ自動車系列の建設会社で、元々はグループ社員向けの社宅の建設を主としていた企業です。
パネル

PC工場におけるパネル製造の様子。一般的なRC造(現場施工)では木の型枠が使われるのが一般的だが、ここでは鉄製の型枠が使用されており、これも環境に優しい点といえる。専用の機械を用い作業するため、作業効率が良く質の高いパネルが製造できる(クリックすると拡大します)


工場は2013年(平成27年)に開設された新しい工場で、中高層の建物(集合住宅)向けのプレキャストコンクリート(PC)パネルを主に生産しています。施工品目に戸建て住宅があり、戸建て住宅も基本的には同様の手法で生産しているとのことです。

PCとは、予め工場内にある型枠でコンクリートの壁や床のパネルを製造し、それを施工現場で組み立てる仕組みのことをいいます。個人の住宅を含む5階建てまでの高さの建物は、この中で壁式PC造と呼ばれています。
パネル2

表面仕上げは人の手で行われている。このあたりは、コンクリートが使われ始めた昔からあまり変化がない工程だ(クリックすると拡大します)


それ以上の建物になると、壁・床パネルのほか、柱や梁も製造するそうです。例えば、超高層マンションのバルコニー部分などもこのような工場で製造され、施工現場に運ばれ、組み立てられるといいます。要するに、工場で生産したコンクリートパネルを組み立てる工法をPC工法と呼ぶわけです。

■施工品質などメリットが多いPC工法
では、PC工法のメリットは何なのでしょうか。それは以下のようにまとめられます。
  1. 品質の高い住宅を提供できる
  2. 省力化・短期施工が可能
  3. 地球環境に優しい
パネル3

型枠から外されたコンクリートパネル。ここからさらに養生期間を経て施工現場に出荷される。現場では、木造のツーバイフォー工法と同じような工程で組み立てられる(クリックすると拡大します)


まず、(1)について。RC住宅の特徴として「基本性能が高い」と前述しましたが、設備や管理体制が行き届いた工場内でコンクリートパネルを生産するため、その性能が計画通りに出やすいのです。

コンクリートはそれを生成する過程で水の量や気温、養生する時間などで性質に大きな違いが出ます。工場であれば現場で生成するより、性能をしっかりと確保しやすいのです。

また、施工現場ではコンクリートを生成するための作業に多くの作業する人が必要ですが、PC工法なら現場で組み立てるだけですから、少なくとも躯体工事に関しては現場施工に比べ、少人数化と施工の短期化が可能になります。それが(2)についてです。
ベランダ

PC工場で生産されている集合住宅向けのベランダ部分。その背後には、パネルを積み込んだ大型トラックもみることができる(クリックすると拡大します)


(3)については、現場施工に比べ廃棄物の削減(現場で主に使用する木材の型枠を使用しない)や、物流のためのエネルギーの削減、地球温暖化の原因となるCO2の削減などができ、工期も短くなりますから、周辺環境への影響も小さくなると考えられます。

東日本大震災の災害公営住宅で数多くの実績

東日本大震災以降、その被災地では数多くの災害公営住宅が求められ、既に数多く建設されています。PC工法は上記のような特徴やメリットから、その中でも集合住宅タイプでは主流を占めており、今回紹介した工場からも部材が出荷されているとのことでした。
災害公営住宅

仙台市内で建設中だったRC造による災害公営住宅(写真はイメージ。クリックすると拡大します)


PC工法にもデメリットはあります。比較的大きなパネルで集荷されますから、それを施工現場に搬入するための道幅がある道路と、トラックを駐車できる敷地が不可欠です。ですので、住宅密集地では施工が比較的難しいという側面も指摘できそうです。

ただ、個人向け住宅の場合はコンクリートのパネルはそれほど大きくないので、住宅密集地でもある程度は対応可能です。とはいえ、いずれにせよ、路地の奥にあるような狭い敷地に戸建て住宅を建てるケースでは、RC造に限らずある程度大きさの決まった躯体素材(パネルなど)を用いるプレハブ(工業化)住宅では難しいのですが。

最後に、RC造における住まいづくりの現状ですが、主流は現場施工でその担い手は地域の中小ゼネコンです。これは、木造住宅の場合、プレハブ系より工務店系の事業者が主流であることと同じような構造です。

ところで、今回皆さんにご理解いただきたいのは、通常では現場施工が主となるRC住宅の世界にも、工場で生産をされる部材を使用するプレハブ住宅の一つ、PC工法が存在するということです。私はかなり以前にその工場を取材していましたが、その際の画像が残っておらずこれまで詳しく紹介できませんでしたが、今回の記事である程度具体的に、その特徴や施工の様子をイメージしていただけるようになるのではないでしょうか。

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