住宅の種類(工法)について、これまで一つだけ紹介できていなかったものがあります。それは「コンクリート住宅」です。コンクリート打ちっ放しなどのデザイン性の高さ、スタイリッシュさから主に都市部で根強い人気のある分野ですが、その詳しい特徴はあまり知られていないようですので、今回ご紹介します。

大規模建築物のノウハウを生かした「パルコン」

先日、コンクリート住宅の最大手である大成建設ハウジングを取材してきました。まず最初にこのハウスメーカーの特徴をみながら、コンクリート住宅の魅力を考えていきます。同社は大手建設会社・大成建設のグループ会社で、主に戸建て住宅の施工・販売を行っています。

大成建設はビルやマンションといった大規模な建築物はもちろん、トンネルやダム、橋などといった土木分野も手がけている我が国を代表する建設会社。大成建設ハウジングはそうした技術やノウハウをベースとした商品「パルコン」シリーズを中心に展開しています。

パネル内部

「パルコン」のパネルの構造。コンクリートの中に鉄筋が埋め込まれる。コンクリートは圧縮の力に強く、鉄筋は引っ張る力に強いという性質がある。二つの組み合わせで圧縮と引っ張りの両方の力に耐えられるという(クリックすると拡大します)

さて、一般的なコンクリート住宅の場合、施工現場に型枠(予めその中に鉄筋が仕込まれています)を作ってそこにコンクリートを打設(流し込む)する工程となります。ですが同社の場合は少し異なります。まず、外壁と床、屋根となるパネルを工場で生産するのです。

パネル生産の方法は型枠を使う一般的なコンクリート住宅とほぼ同じですが、生産された各パネルは施工現場に輸送され、組み立てられるという仕組みとなります。工場で部材を生産するわけですから、「パルコン」はいわゆるプレハブ工法と位置づけられるのです。

施工現場で作業する手法より、より高い品質や精度を保てることがプレハブ工法の大きなメリットであり、安定かつ高い強度を確保し工期も短縮できます。加えて「パルコン」の特徴となるのが、「壁式構造」が採用されている点です。この構造を理解するには、木造のツーバイフォー工法をイメージするといいでしょう。

壁と床、屋根のパネルが、面で建物にかかる力をバランス良く分散することで、建物全体の耐力を維持するというイメージです。これにより、大地震の揺れにも十分に耐えられる耐震性を確保しているといいます。

過去の大震災で確認された耐火性能

例えば、一般的な木造軸組工法や鉄骨軸組工法と比べて、建物全体で力を受け止めることができるため、大地震の大きな揺れのエネルギーを受けても建物の変形を少なくできるという理屈です。このあたりが、コンクリート住宅の強さの秘密といえそうです。

施工現場

「パルコン」の現場作業の様子。工場で生産されたコンクリートパネルをこのようにクレーンで吊り上げ、組み立てていく(写真は大成建設ハウジング提供。クリックすると拡大します)

コンクリート住宅ついて注目すべき点は耐震性だけにとどまりません。耐火性の高さも大きな特徴となります。というのは、コンクリートは非常に燃えにくい素材だから。これは、阪神淡路大震災など過去の災害後の調査で確認されています。

他の大手ハウスメーカーと同様、災害後に大成建設ハウジングも供給した建物の調査を実施。例えば阪神淡路大震災後に、「パルコン」は自宅だけでなく周辺の建物に延焼するのを防いだケースも確認されています。

阪神淡路大震災などで鉄骨系住宅にも同様の効果があったことが確認されていますし、近年は外装材の防火性能が向上して、木造住宅も随分と耐火性能が高まりました。ただ、その中でもコンクリート住宅の防火性能は非常に高いと評価されているのです。

今後、首都圏直下型地震の発生が懸念され、その際には都市部特有の現象として火災による被害の拡大が指摘されています。その被害軽減に、コンクリート住宅が大きな効果を上げることも期待されるわけです。

次のページでは、コンクリート住宅のその他の特徴についてご紹介します。