マンションの共用施設は魅力のひとつ
維持管理費は住人で分担
エントランスホールもマンションの共用部のひとつ
マンション住まいの大きなメリットの一つに「共用施設」があります。マンションの共用施設とは、マンションの住人が共同で使用する施設のこと。マンションの規模が大きくなると共用施設も充実したものが多くなり、それがそのマンションの魅力のひとつになります。
一方、共用施設の維持管理費は住人が負担するので、あまり使用しない施設がたくさん入っていると、無駄なスペースだと不満に感じてしまうこともあるでしょう。どんな共用施設が入っているかは、賢いマンション選びにおいてとても大切なことといえます。
そこで、最近の新築マンションでよく採用されている共用施設と、その施設があることの利点を考えます。その人のライフスタイルによって使用頻度の高い施設は異なってきますので、ご自身にとってどんな施設が必要か考えるときの参考にしてください。
<目次>
マンションの顔:ロビー、ラウンジ
豪華なロビー、ラウンジは高級マンションでは定番の共用施設となっています。ロビーは人が出入りするメインエントランスホールに隣接して設けられることが多く、ラウンジは上階など景色が良く見える場所に設けられることもあるようです。どちらも一般的にそのマンションの「顔」ともいえる施設なので、高級マンションでは高価な大理石などをふんだんに使った内装で、ゆったりとしたソファーなどが置かれ、ホテルのように豪華な仕上がりになっています。■ロビー
マンションのロビーの例
エントランスホール近くに設けられるロビーは「来客があった時に簡単に用事を済ます場所」としても使われるようです。来客が多い人にとっては自宅に通さず用事が済む「便利」な場所ですが、来客がほとんどない人にとっては「なくてもいい」場所かもしれません。
たいてい広いスペースが取ってあるので、雨の日に子どもたちの遊び場と化すこともあるとか。またその「広さ」にムダを感じてしまう人もいるようです。
しかしながら、高級マンションではステイタス感を演出する役割を担っています。空間が狭かったりチープな仕上げになっていると、マンション全体のイメージを損なう恐れがあります。
■ラウンジ
ラウンジもロビーとほぼ同じ位置づけですが、タワーマンションや高層マンションでは上階に設けられ、上階から見える素晴らしい眺めをマンションの住人全員、およびその客人で分かち合える場所となります。
日常の雑事を済ます
コンビニ、フロントサービス、宅配ロッカー
マンションの規模が大きくなると、かゆいところに手が届くような便利な共用施設が入ってきます。忙しい日々を送っている人にとって重要チェックポイントになりますね。■コンビニエンスストア
コンビニがあればちょっとした買い物が済ませられる
大規模マンションではよく見かけるようになりました。飲み物、お菓子、文具、電池や電球など、ちょっとした買い物をしたい時、買い忘れがあった時に利用する人が多いようです。小さな子どもがいる場合は雨の日の買い物はおっくうになりがちですが、傘をささずに買い物ができる点も魅力ですね。
■フロントサービス/コンシェルジュ
コンシェルジュは住民のニーズにこたえてくれる
マンションエントランスに受付があり、そこに住人のお世話をするコンシェルジュを置くマンションもあります。いわばホテルのフロントがマンション内にあるというイメージです。
例えばクリーニングの取り次ぎ、宅配便の発送と一時預かり、郵便物の発送やコピーサービス、写真の現像取り次ぎなどをしてくれます。
フロント、コンシェルジュと言えばホテルライクなイメージがあり、高級マンション限定かというとそうでもなく、郊外型の大規模マンションでも採用されています。住人の子どもの名前を覚えて通るたびに声をかけてくれたり、カギを忘れた時に対応してくれたりと、お子さんのいる人からは「安心感がある」という話も耳に入ります。
また、1人暮らしで「だれに聞いたらよいかしら……」という時も、こういった有人サービスがあると心強く感じるそうですよ。
■宅配ロッカー
宅配ロッカーは、時間を気にせずいつでも荷物を取りに行けるので、多くの人が「あって良かった」と支持している施設です。忙しくて昼間留守がちなお宅には今や必需品といっていいでしょう。最近ネットショッピング、通販を利用して買い物する人も多くなりましたが、そのような場合はなおさら利用頻度が高くなるでしょう。
趣味やリラクゼーションを身近で楽しむ
フィットネススタジオ、集会室、ライブラリー
住む人のライフスタイルによるものの、最近の健康志向からフィットネススタジオやジムにも人気があります。また、集会室があればそこで趣味のサークル活動をして住民同士の交流を深めることができます。本好きな人や静かに過ごせる空間が欲しい人にはライブラリーがあるといいですね。■フィットネススタジオ
フィットネススタジオが近くにあれば継続できるかも…
忙しい毎日を過ごしていると、ついつい運動不足になりがちです。フィットネススタジオやジムがマンション内にあれば、仕事帰りにちょっと寄ったり、少しの空き時間に利用できて便利です。とにかく近場で、気軽に行けること。これが運動を長続きできるヒケツかもしれません。
※フィットネススタジオは「最も割愛されやすい共用施設」とのことですので、備えているマンションは少ないかもしれません。
■集会室
集会室も、使い方がフレキシブルに設定されていれば優れものです。基本的に住民の話し合いをする時に必要な部屋ですが、それ以外の時はキッズスペースとして開放したり、趣味のサークル活動の場として使えるようになっていれば、活躍の場が多い共用施設となるでしょう。
■ライブラリー
静かに本を読んだり調べものをしたり。ライブラリーも人気の高い施設です
静かな場所で本を読みたくなった時、マンション内にライブラリーがあれば便利ですね。ライブラリーとはその名の通り、マンションの住人専用の小さな図書館のような施設です。
本がおかれていたり、机やインターネットに接続したパソコンが設置されている場合もあり、空調の効いた快適な空間で、静かに調べ物や勉強ができると評判は良いようです。
自分スペースとして有効活用
ゲストルーム、パーティルーム
例えば、たまにしかこない来客を想定してプラスワンルーム(予備室)を準備したり、人を招くのが好きだから広いリビングが欲しいと思っても、結果として予算に合わなかったり、たまにしか必要とせず日常的に無駄が出る可能性は高くなります。都心に住まうのなら、なるべくそういったものは脱ぎ捨てて、「コンパクト」な暮らしを検討することも必要になってくるかもしれません。そんなとき役に立つのがゲストルームやパーティルームです。こういった共用施設を上手に利用しましょう。
■パーティルーム
キッチン付きのパーティルームなら料理も作れます
ガイドが子育て中に「これはいいな」と感じたのがこのパーティルーム。同じく子育て真っ最中の友人が、子連れで外に出るのは無理だけれど、マンションまで来てもらえれば会えるということで、集まったのがその友人の住むマンションのパーティルームでした。
調理OKのキッチンが備わったかなり広いリビングダイニングという感じで、ダイニングやリビング家具も備え付けてあります。スペースが広くゆったりとしているので子連れでもOKです。掃き出し窓からはウッドデッキに出ることができ、なかなか居心地の良い空間でした。広いテーブルにみんなで座って楽しいひと時を過ごしました。
自分の家では負担が大きかったり、広さの関係であまり人数を呼べなかったりしますが、パーティルームならその心配もなく、安心して招いたり招かれたりできます。
■ゲストルーム
ホテルライクなゲストルーム
来客があった時に泊まることができるのがゲストルームです。ホテルのようなおしゃれな造り、眺めの良い位置に部屋が設けられることが多く、料金もだいたいホテル並みかそれより安く泊まれるように設定されていることが多いようです。
今のマンションの間取りは洋室が中心で和室が少なくなってきました。和室がないということは押し入れもなく、布団収納のスペース確保が困難になります。「お泊り客にはゲストルームを利用する」と決めれば客用布団も不要になります。そういったライフスタイルも「あり」ではないでしょうか。
外部の共用施設:庭園、公園、駐車場、駐輪場
建物の外にある共用施設に着目してみましょう。■庭園、公園
敷地内に公園があれば子どもを安心して遊ばせることができる
まずは庭園や専用の庭について、マンションの周辺に緑があるとほっと癒される感じがしませんか。またそれらは夏場にマンションから出る熱を吸収し、ヒートアイランド現象を和らげる効果もあります。
マンションの庭園や公園といった緑多いスペースは憩いの場として、またイベントスペースとして住人の交流の場として使われることもあるようです。小さなお子さんがいれば、敷地内の公園で安全に遊ばせることができます。
■駐車場、駐輪場
駐輪場は立地に関係なくニーズが高い。マンションに共用自転車を置き、必要な時借りるというシステムがあるマンションも。
駐車場や駐輪場はマンションの立地によって必要性が変わってきます。都心部に建つマンションでは十分な駐車台数が確保できなかったり、使用料が高く設定されていたりしますが、都心部ならではの足のよさを生かして「車を使わない」というライフスタイルも視野に入れながら検討すると良いでしょう。
駐輪場に関しては、都心部でもニーズは高いようです。どんな暮らしをするかイメージできれば必要性も見えてきます。
郊外型で駅やショッピングセンターが遠いマンションなら駐車場のニーズは高く、マンション内または付近で十分な駐車台数が確保されていることが望ましいでしょう。
その共用施設は自分にとって必要か見極める
以上、最新マンションでよく見かける共用施設をご紹介しました。「住まいだけのシンプルなマンションがいい」
「共用施設が充実している方がいい」
思い描くライフスタイルによってマンションに望むことは変わってきます。共用施設の維持管理の費用負担は住人の肩にかかってきますので、じっくりと自分自身にとって必要な施設かどうか見極めてください。それに叶ったマンションが購入できれば、満足度の高いマンションライフが実現するでしょう。
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