不動産売買の法律・制度/不動産売買の法制度

情報収集・物件見学~住宅購入の流れ・手順 4(2ページ目)

住宅選びの前準備が整ったら、いよいよ本格的に物件情報収集を始め、気になる物件があれば見学に出掛けます。情報集めから見学までの段階における注意事項やポイントなどをまとめました。(2017年改訂版、初出:2005年2月)

執筆者:平野 雅之


物件の問い合わせや見学の予約をする

自分の条件にある程度は合致しそうで、実際に見てみたい物件があれば、不動産業者に問い合わせや見学の依頼をします。

新築分譲マンションや一定規模以上の分譲一戸建て(建売)住宅などであれば、直接モデルルームやモデルハウスへ足を運ぶこともあるでしょうが、多くの場合はまず電話やメールで連絡をすることになります。

電話

不動産業者へ最初の電話をして、相手の対応を見極めることからすべてが始まる

広告などでそれなりの詳細が分かっていて、ぜひとも見てみたいという物件であれば、いきなり「見せてください」と頼んでも良いのですが、そうでない場合には事前にいくつかの質問事項を用意しておき、分からない部分を確認するようにします。

最初は見ず知らずの会社、営業担当者ですから、電話応対の態度や質問への回答姿勢などにも注意しておきましょう。

電話への対応に誠実さがなく信用できないようであれば、「もう一度改めて連絡します」とでも言って電話を切っても構いません。ただ、そのようなケースを考えると、念のために初めの電話は番号非通知にしておいたほうが良いかもしれません。

新築分譲マンションなどでは、物件ごとにそれぞれ違う相手(売主業者、販売代理業者など)に問い合わせなければなりませんが、中古物件や小規模の建売物件、土地などであれば、ほとんどの物件はどの媒介業者でも同じ情報を入手することができます。

そのため、広告を出していたそれぞれの業者に一つひとつ問い合わせをするのではなく、信頼できる業者が見つかればそこにすべて任せてしまったほうが得策となるケースも多いものです。

多くの不動産業者に問い合わせをすればするほど、その後の営業攻勢にさらされる度合いも高まりますし、それ以前に、少なくとも氏名、住所、電話番号、予算、さらには勤務先、年収などといった個人情報を、不必要な相手にまでさらけ出すことになりかねません。

問い合わせをした物件がダメだったとき、複数の媒介業者に依頼をしておけば、業者によってそれぞれ違う物件を紹介してくれると期待することもあるでしょう。

しかし、それは同一データベースの中からの物件検索方法(条件設定)の違い、あるいは紹介する物件の取捨選択における営業担当者の考え方の違いに過ぎません。

信頼できる営業担当者にあなたの条件や希望をきちんと伝えて理解してもらえば、結果的にはいちばん適切な物件を紹介されることになるでしょう。

また、複数の業者ではなく1社だけに頼むという姿勢をみせれば、営業担当者のチカラの入れ具合も違ってくるものです。もっとも、通常の情報ルートには乗らない物件もないわけではないので、難しいところですが……。

なお、中古物件などの広告を見て不動産業者への問い合わせをせずに、直接現地へ行くことは避けましょう。

とくに、まだ居住中の物件では、売り出していることを周囲に知られたくない売主もいます。見知らぬ人が予告もなく来てジロジロ見られれば、不快な思いをされることもあります。

また、広告に記載された地番を住居表示と勘違いし、まったく違う物件を見てすっかり気に入ってしまったという、笑うに笑えない話もありました。それが知っている中古マンションだったときに、周囲をぐるっと回って歩いてみるぐらいであれば問題はありません。


物件を見学する際のポイント

購入の検討対象となる物件が見つかればいよいよ見学ですが、新築未完成物件のモデルルームやモデルハウスを見学するとき、初めのうちは完成後のイメージをつかみ難いものです。また、見学の際に気負い過ぎてしまい、冷静に見ることができなくなってしまう人もいます。

当初は練習のつもりで2~3物件のモデルルームなどを見てみるのも良いでしょう。ただし、このようなときは販売担当者にあらかじめその旨を伝え、お互いに気まずい思いをしなくて済むように心掛けてください。

モデルルーム

モデルルームに自分たちの等身大の生活を当てはめたらどうなるのか、冷静に想像することも大切

モデルルームなどは、室内が素晴らしく見えるようにコーディネートされているものですから、そのイメージに惑わされないようにしなければなりません。

あらかじめ、いま住んでいる部屋の家具のサイズなどを把握しておくことも、現実的にモノを見るのに役立ちます。

モデルルームなどを見て、購入を決断する際の判断力を養うためには、少なくとも5~6物件は見ておきたいものです。1~2物件程度の見学では、それぞれの住宅が他と比べて優れているのか劣っているのかすら、なかなか判断できないでしょう。

ただし、あまり多くの物件を見過ぎてしまうと、逆に購入物件を選びきれない症状を呈する人も少なくありません。多くても10物件目ぐらいまでには、購入を決められる物件にめぐり合いたいものです。

中古物件(マンション、一戸建て住宅)や中小規模の建売物件などでは、媒介業者を通じて見学(内見=ないけん、案内)のセッティングをしてもらいます。

このとき、担当者の車に乗せられて一度に4~5物件程度を見せられる場合もあるでしょうが、まとめていくつか見ることで、個々の物件のポイントがぼやけてしまいがちです。重要なポイントを見逃さないようにしなければいけません。

また、そのような業者では最後のほうの物件で購入希望者をその気にさせるよう、あらかじめシナリオを描いていることも多いものです。業者のペースに引きずり込まれないように、細心の注意も必要です。

売主が居住中の物件では、遠慮して細かな部分を見ようとしない人もいますが、決して売る気がない人のところへ無理やり押しかけているわけではありません。売主は何とか買ってもらいたいのですから、気になる部分は遠慮なくチェックしたり、売主に質問したりしてください。

ただし、どんな場合でも礼儀は必要です。寝室や子供部屋を見たり、家具の裏側を覗いたりする場合には、事前に声を掛けるような心配りも大切です。置いてある家具を、断りなく勝手に動かすこともいけません。また、売主のプライバシーに関わる不必要な質問などは控えましょう。

新築住宅の場合も中古住宅の場合も、モデルルームや物件だけを見るのではなく、駅から現地まで歩いて周辺環境などをチェックすることも必要です。

新築分譲マンションの場合には、モデルルームが建設現地とは離れた場所に設置されていることもありますから、このようなときは必ず建設工事が行なわれている現地にも足を運ぶようにしてください。

自分の車でモデルルームや待ち合わせ場所などに現れる人もいますが、不動産を見学する際にはできるかぎり電車やバスを利用したいものです。どうしても車で移動したい場合には、いったん車をおいて物件の周辺や駅までの道のりを歩いてみるようにしましょう。

また、営業担当者の車に乗せられて案内された場合には、たとえ気に入った物件があったとしても、再度時間を取って現地へ行き、自分の足で確認してみるまでは、安易に購入の意思表示をしないことも重要です。


【住宅購入の流れ・手順】
1 購入の意思決定
2 資金計画を立てる
3 住宅選びの前準備
4 情報収集・物件見学
5 購入物件の決定
6 売買契約・引き渡し


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