住宅購入の費用・税金/住宅購入の税金

登録免許税を正しく理解しよう!(5ページ目)

住宅を購入して引き渡しを受けるのと同時に登記の申請をしますが、そのときに必要となるのが登録免許税です。住宅購入時の登録免許税について、しっかりと理解しておきましょう。(2018年改訂版、初出:2005年4月)

執筆者:平野 雅之


登録免許税を負担するのは誰?

登録免許税法の規定では、たとえば不動産の売買の場合、登記権利者(買主)と登記義務者(売主)が連帯して納付義務を負うこととされています。

ところが実際には、登記によって利益を得る(第三者に対する対抗力を得る)者が負担すべきとの考え方から、買主が所有権移転登記(または保存登記)にかかる登録免許税(および司法書士報酬など)の全額を負担するのが取引慣行で、売主が負担する例はほとんどありません。

ただし、その考え方によれば住宅ローンに対する抵当権の設定登記費用などは金融機関が負担すべきともいえますが、この場合の登録免許税などもやはり買主が負担することになります。

もちろん当事者間での合意があれば、登録免許税などを「売主が負担する」あるいは「売主と買主が折半する」と取り決めることも有効ですが、通常はそのような要求をしても売主に拒絶されるか、そのぶん売買代金を引き上げられるのがオチでしょう。

言い換えれば、これらの費用を買主が負担することを前提として売買価格が決定されているわけです。住宅購入に必要な経費として割り切るしかありません。


司法書士への報酬額も忘れずに見込んでおく

登記の申請にあたり、たいていの場合は司法書士にその手続きを依頼することになります。

このときの司法書士への報酬額は、登記する土地・建物の評価額抵当権設定登記では債権額)によって加算されることが多く一概にはいえませんが、平均的な都市部の物件の場合、1物件に対する所有権保存登記と抵当権設定登記、または所有権移転登記と抵当権設定登記のセットで、おおよそ4万円~6万円程度です。

地方や郊外の物件あるいは敷地の持分が極端に少ないマンションなどではもっと安いこともあるでしょうし、敷地が広く高額な物件あるいは都心部の高地価エリアの物件では報酬額もかなりの高額になるでしょう。

現在は司法書士の報酬規定がないため、依頼相手によってもバラバラなのが実情のようです。

司法書士へはこの報酬額以外に、事前閲覧調査費用、立会日当、交通費なども支払わなくてはなりません。これには2万円~4万円程度を見込んでおかなければならず、遠方からの司法書士では交通費も高額になってしまいます。

司法書士へは報酬額と合わせて6万円~10万円が必要になるわけですが、報酬額とは別に日当を請求されるのも何だかすっきりしないでしょう。

また、司法書士に対する苦情の例では「極めて高額な報酬を請求された」とするものが多いらしいのですが、その大半は登録免許税と報酬額などの合計額を「すべて司法書士の報酬」と勘違いしているケースのようです。

分譲業者が購入者に対して提示する試算表のなかでこれらを区別せず、単に「登記費用」として合計額を記載しているケースが多いのもその一因かもしれません。

実際に支払うときには、請求書あるいは領収書にその明細が記載されるはずですから十分にご確認ください。報酬は依頼する司法書士によって安くなるケースもありますが、登録免許税はどの司法書士に依頼しようとも動かしようのない金額です。

なお、新築一戸建て住宅などを購入したときには建物の表題登記も買主負担で行なうケースが多くなっています。

この場合、表題登記の申請自体に登録免許税は課税されませんが、表題登記をするための土地家屋調査士への報酬額として10万円前後が必要となります。

また、新築マンションの場合の表題登記は分譲主(売主)がすべての部屋を一括して申請することになっていますが、その費用をそれぞれの部屋の買主に按分して負担させるケースと、売主がすべて負担するケースがあるようです。


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