不動産の税金はそれぞれの規定が複雑であり、事前の確認を怠ると思わぬ出費のために痛い思いをすることにもなりかねません。
(東京都渋谷区 高橋さん 30代 女性)
ご質問のように、ご友人が買ったマンションでは3,000万円の売買価格に対して税金が30万円程度だったとすれば、900万円のマンションなら税金は10万円弱ぐらいで済むのかと思いがちですが、そうはいかないのが税金の世界です。
とくに取得の際にかかる税金では、固定資産税評価額を基にして税額を計算するものが多く、売買価格による比較はあまり意味がありません。
中・低層の古いマンションでは、土地の持分が非常に大きなケースも
さらに、土地の持分についてもしっかりと確認してみる必要がありそうです。
昭和40年代頃に建てられたマンション(とくに公団の分譲住宅など)で中・低層の場合には、たとえ東京の都心部であっても、土地の持分が極めて大きい場合があります。
実際に渋谷区あたりでも、住戸部分の専有面積が15坪程度なのに対して、土地の持分が50坪近くに及ぶケースがありました。
土地の持分が非常に大きなときでも、それが中古マンションの売買価格にそのまま反映されるわけではありません。
通常であれば、物件の固定資産税評価額よりも売買価格のほうがだいぶ高くなるのですが、土地の持分が多い古いマンションではその価格が逆転することも決して珍しくなく、売買価格が900万円だとしても、共有持分で案分した土地の評価額は1戸あたり2,000万円だということもあり得ます。
また、地方都市では大幅な地価下落によって売買相場が評価額を下回ることのほうが多い地域もあるでしょう。
土地の持分評価額が2,000万円、家屋の評価額が300万円だと仮定して税金を計算してみると、軽減措置がない場合には所有権移転にかかる登録免許税が23万円、不動産取得税が39万円、さらには印紙税や固定資産税・都市計画税、住宅ローンやリフォームローンを借りればその抵当権設定にかかる登録免許税なども必要です。
(ここに挙げた税額はご質問を受けた年の規定によるもので、現在はさらに高くなっています)
古いマンションを購入する際には、物件そのもののチェックとともに税金面でのチェックも欠かせない
もっとも、ここで仮定した評価額と実際の評価額が大きく異なるようであれば判断に困りますが……。
いずれにしても、不動産業者が試算した税額の基となる課税標準額を確認し、軽減措置適用の有無などにも注意しながら納得できるまで説明を受けるようにしてください。
なお、ここで挙げた事例のように土地の持分が大きな古いマンションでは、建て替えの計画が他のマンションよりは立てやすく、有利な条件が揃っている場合も多いものです。
建て替え計画が具体的に進みだすと、投機的な需要により売買相場が一時的に上昇する可能性も考えられます。しかし、それを狙って古いマンションを買うのはリスクが大きいでしょう。
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